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キセイジジツ
第10章 迷心
ーーー私を想いながら…他の人を抱いてた?
そんなの……えっ……私…の…せい?
唇が震えて止まらない私を見て健が早口で言葉を続ける。
「悠里っごめん!俺の言い方がおかしかった!
悠里を想って他の女を抱いたのに間違いはないけど、それは悠里のせいとかじゃなくてっ、俺がそうする事でしか自分を保てなかったからなんだ!」
「でも…っ」
「行動は軽蔑されても仕方ないと思う。
でも…言葉だけは信じて。俺が今まで本気で好きになったのは悠里だけなんだよ…」
健の切なげな顔や声が…心を惑わせる。
「今回の件は…俺の詰めが甘かった。
一方的に関係を切った俺への復讐だったらしい。
あの日プールで会ったのも偶然じゃなくて、俺の後をつけてたみたいで計画的犯行だったんだ。
そして居合わせた悠里もいっしょにターゲットにする事にしたんだと…」
「ひど…い…」
「騙されたとは言え、俺も警戒が足りなかったのを反省した。もう少し注意してたら変な薬を飲まされることもなかったと思う。
強制的に発情させられて…屈辱しかなかった。
………だからって訳じゃないよ。
悠里と繋がる事が出来て、悠里を大事にしたいって思ってからは悠里だけで…これからも悠里だけを大切にしていきたい」
ーーー私だけ…を?
「俺の事、嫌いになった?」
子犬のような瞳で見つめられて目が逸らせない。
「う…」
「いつか将来は悠里と結婚して子供も欲しいんだよ、俺。だからさ、俺を見捨てないで…?」
ーーーどこかで聞いたようなセリフ。
「もうこんな想いはさせないから…俺の事嫌いにならないでよ。本当に、悠里がいないと無理なんだ…」
ーーーあ…そうだ。パパがママに言ってた言葉といっしょなんだ…
「もう一度、俺にチャンスをちょうだい!?」
ーーーママはパパにどんなに酷い事されても、パパの事好きって言ってた。
いつも泣かされてるのに……
「悠里っ!!」
健に思いっきり抱きしめられる。
「たけちゃ……んっ!」
油断している瞬間に唇を奪われた。
「んーっ!んんー!」
肩をドンドン叩いてもビクともしない。
健の瞳は欲望の色で揺れている。
ーーーたけちゃんのこんな目…知らない。
少し怖さを感じながらも、耳を刺激されて力が抜けていく。
視界が反転してーー私はベットの上に倒されていた。