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キセイジジツ
第10章 迷心

あれからどれくらい経っただろうーー


何度果てても、健は悠里を離さない。

その体のどこにそれだけの体力と精液が溜まっているのか悠里は不思議でたまらなかった。

当然、一度果てればしばし休憩をするのだが、今日の健はすぐに体も肉棒も復活した。

そして何かに取りつかれたように腰を動かす。


「あっ…んっ……はっ…んっ……」

「はっ……はっ……はっ……」


口から漏れるのは短い言葉だけ。

健が胡座をかいた上に乗った体勢で突き上げられている悠里は、健の首に掴まって快感に耐えるしかない。

体中が互いの汗や体液で汚れていて気持ち悪い。

それは結合部も同じで体液が混ざり合ってグチャグチャになったそこは、肉棒を簡単に受け入れるだけのいやらしい場所となっている。


ーーーどうしてっ……こんなことに……


何を言っても聞いてくれない健は、まるで別人のように悠里を求める。

目の前にいるのは確かに健なのだが、繰り返されるセックスには愛情が感じられない。

欲を発散する為だけの行為にか思えない。

それでも悠里の膣内は肉棒を離さないように絡みつき、健を煽り続けた。


ーーーこんなの……たけちゃんじゃ…ない!


どんなに健の顔を見つめても心が見えない。

怖くて、信じたくなくて、涙が流れた。

その涙さえも今の健にとっては興奮作用にしかならなくて、涙を流す度に肉棒を最奥まで押し込まれる。


ーーーだれかっ……たす……けて……っ。


そろそろ限界だ。

また涙腺が緩むのを感じる。

首に絡ませた自分の腕に噛みついて、目に溜まった涙があふれないように我慢するが、それは無駄だった。


ーーーもう……わたしっ……


大粒の涙が頬を静かに伝った時ーー
部屋のドアがバンッと大きな音を立てて開かれた。


「ゆーりっ!!」
「たけっ!?」
「悠里ちゃんっ!!」


健の肩にアゴを乗せたままドアへ目を向けるけど、涙で歪んだ視界では顔は分からない。

でも…声で誰なのかは分かった。


ーーー来てくれたんだ……良かった……
お願い……たけちゃんを…助け…て………


いつの間にか健の動きが止まった事に気づかないまま、悠里は気を失った。
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