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キセイジジツ
第10章 迷心

ふと目を覚ますと…
たくましい胸板が目の前にあった。

どうやら誰かに抱きしめられた状態で眠っていたようだ。


ーーー私…?あ…そうだ…
みんながたけちゃんを止めてくれたんだよね…
じゃ…これは……

無意識に鼻で匂いを嗅いでいた。

服から伝わるのは長年連れ添った片割れの匂い。


「ゆーま…」

喘ぎ過ぎたのか声が掠れてあまり出ない。

「…おはよ…」

首をひねって見上げると、寝起きの悠真の顔。

半分だけ開かれた瞼がすごく重そうで気を抜くとまた閉じてしまいそう。

「起こしちゃったね…寝ていいよ」

朝が弱い悠真を気遣ってそう伝えると逆に瞼はすべて開かれ…完全に目を覚ましたようだ。

悠真が私を真っ直ぐに見つめる。

「……ごめん」

瞳の奥が後悔の色で揺れている。

「何で…ゆーまが謝るの?」

「だって俺がっ……」
「たけちゃんに電話させたから?」
「っ……」

「ゆーまのせいじゃないよ」

見開かれた瞳から零れた涙を指で拭う。

「俺もいっしょに行けば良かったんだ……」
「えー?ゆーまってば、カップルの話し合いについてくるような不粋な事するの?」

大げさに明るい声で言うと悠真が首を横に振った。

「ゆーり、俺の前で無理すんなよ。
俺達はこの世でたった一人の片割れなんだから」
「っ……」

ーーーいつもそう。ゆーまは私の心を分かってる。嘘は通用しない……

涙があふれてきた私の顔を悠真は自分の胸元へと押しつける。

「ふえ……う……うぅ……」
「これで顔は見えないから思いっきり泣いていいよ」

ーーーそしていつも優しい。


「ゆうまあぁぁ……怖かったよおぉぉぉ……」
「うん。怖かったね。でももう大丈夫」
「たけっ…ひっく……たけちゃっ…んが…なんか…いつもとちがっくて…」
「確かに違ったね。無理矢理されたんでしょ?」
「うっん……やめてっていって…も、やめってくれなくてっ」

「男としては最低だね」

悠真の低い声が響く。

「どんな理由があるにしろ、好きな女にする行動じゃねーよ」

「でもね…ゆーま。たけちゃんもっ…わるくないとおもうの…」
「はあ?あんな酷い事されて…何言ってんのっ?」

悠真が声を荒げるのは珍しい。

それほど健の行動に激怒しているのだ。

ーーーそれが普通の反応だと思う。
でもね…たけちゃんの事…嫌いになれないの。
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