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キセイジジツ
第10章 迷心

悠真と二人して泣いたあとどうやら私はまた眠りについたらしい。

再び目を覚ますとテレビの音が聞こえてきた。

相変わらず私は悠真の腕の中にいてテレビに反応して悠真が笑うと私まで体が揺らぐ。

少し身をよじると悠真が私の顔を覗き込んでくる空気を感じて顔を上げる。

「あ、起きた?」

そう言って口角を上げて微笑む悠真に戸惑う。

「ぁっ…」

ーーー悠真のこんな顔、初めて見るな…。

初恋もまだで子どもだと思ってた弟の男らしさを一瞬感じて何となく複雑な気分になった。

「さすがにもう起きるよね?」
「ぇ?」

「悠里ね、丸一日寝てたんだよ。泣いたあとに水分も摂らずに寝ちゃったから心配した」

そう言われてみれば喉が張りつくような感じがして声も出しにくい。

悠真が腕枕を外して身を起こし、ベット横のテーブルからペットボトルを取ってくれる。

「ほら」
「ん」

私も身を起こして受け取った水で喉を潤すと生きてる心地がした。

「ご飯食べれそう?」
「うーん…」

か弱い女の子ならここで「無理そう…」と言うのかもしれないけれど。

「食べる!」
「だよね。用意出来てるよ。お粥だけど」

空腹の体ではしっかり歩く事が出来ず悠真に支えてもらって居間へ向かった。


「あー…しみわたるぅ…」

レンゲを口に含みながら目を閉じてご飯を食べれる幸せを感じる。

頬杖をついて私を見ていた悠真がふっと笑い口を開いた。

「実に二日振りのご飯はどうですか」
「幸せすぎる」
「まずはお粥で胃を慣らさないとね。二、三日で平気になるはずだってばあちゃんが言ってたよ」
「うん。早く…お肉食べたい」
「花より団子だな」
「…今はね。食べないと死ぬもん」
「だな。…そんな悠里に会いたいって人から連絡が来たんだけど」
「誰?」
「恭介さんだよ」

口に運びかけていた手を止めて悠真を見つめる。

「ね、確認したいんだけど…」
「何?」
「あの、その…」
「あ、健兄ちゃんの事?」
「それも気になるんだけど…
今はえっと……私の、みんな見た?」

一瞬首をかしげた悠真は何かを考えると「あぁ」と思い出したように意地悪な顔をした。

「悠里の裸の事?」

私は必死に首を振る。

「元兄ちゃんは見てないよ。見たのは俺と恭介さんだけ」
「あー…」

悠真はまだしも、長田に見られたのは猛烈に恥ずかしい。
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