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キセイジジツ
第11章 外出

真っ直ぐ見つめられて私は怯んだ。


悠真に言われた通り、健の事は好きよりも憧れの気持ちが大きかった気がする。

再会して互いの気持ちをぶつけ合い、健も自分を想ってくれていた事に私は喜んだ。

でもこの時、心のどこかで違和感を感じていたのも確かで、健と体を重ねる事でその違和感を正当化しようとしていたのかもしれない。

私は愛されてる、だから健の事も愛してるのだと。

抱きしめられる度に「ずっと」という言葉を使わない健に気づいても責めなかったのは、私にもどこか後ろめたさがあったから?

健との出来事を思い出すほどに、胸が痛んだ。

買ってもらったイヤリングはプールに行った日からアクセサリーケースに閉まったまま、付けられずにいる。

それが健への気持ちだと確証するかのように。


「私…」


自分の想いを吐き出そうとした時

「お待たせしました」と店員が肉や野菜の盛り合わせを運んできた。

「先に食べよう」

そう言うと長田は菜箸を手にして鍋に具材を入れていく。

野菜は丁寧に入れていたのだが、肉に関しては重なってるのも気にせず、すべて放り込んでいる。

料理が出来る人にしては大胆というより雑な動作に私は思わず「ぷっ」と吹き出していた。

長田はキョトンとした顔をしながら菜箸で鍋をかき混ぜている。

「え、何か変だった?」
「入れ方が…大胆だなあと思って」
「あぁ、肉?この方が旨いんだよ」
「そうなんですか?」
「火が通りにくいのが少し難点だけど」
「ですよね!あははっ」
「お嬢さん、もう少し我慢を…」

先ほどまでの空気が嘘のように私達は笑って楽しく食事をした。

長田のふとした言葉や動作が心を癒していくようで、無理に笑わないで済むのが私には心地いい。


ーーー長田さんには不思議な力があるなあ。


食事を済ませた帰りの車の中で私は長田の横顔を静かに見つめていた。

本人に知られないようにそっと。

「悠里ちゃん」
「はいぃっ」

急に名前を呼ばれて焦って変な声を出した。

「ははっ…大丈夫?」
「大丈夫です。何ですか?」
「もし予定なかったら明後日、教室の手伝い頼めないかな」
「あ、ぜひ。お手伝いしたいです」
「ホント?良かった」

長田がホッとして微笑む。

この顔をもっと見たいかも…

「私…明日会ってきます」

ーーー健兄ちゃんに会ってきます。
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