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キセイジジツ
第11章 外出

それぞれの飲み物が準備出来て私達はテーブル席へ移動し、築地が持ってきたものへと視線を集中させた。

「これ自信作なんだ」

満面の笑みを浮かべて紹介してくれたのはプリン。

「試行錯誤してやっとここまでたどり着いたんだよね~俺こういう才能あるのかもな~」

腕を組んでうなずきながら自賛している築地にプリンを一口食べてみた健が口を開く。

「確かに旨いよ。でも奥様レベルだな」
「お…奥様…」

ガクッと頭を垂れた築地はそれから静かだった。

ーーー築地さーん、元気出してー。

悠里は心の中で築地を励ました。

声に出してしまうと、いつまでも話し合いの雰囲気にならないと思ったからだ。

健もそれに気づいてわざと手厳しい言葉をかけたのかもしれない。


「悠里。俺から…いい?」

健が伺うような目を向けてきたので私はうなずいた。

「…この前はあんな事して悪かった。悠里の気持ちを考えずに自分勝手な事をした。本当にごめん!」

テーブルにおでこがぶつかりそうなほど健は頭を下げる。

「マナとの事を含めて自分の過去を話す事で、悠里が俺を嫌いになるかもしれないって覚悟をしてたつもりで、実際は覚悟なんて出来てなかった。
少しずつ曇っていく悠里の瞳を見て、もう悠里とは会えないのかもしれないと思うと止められなかったんだ」

「そっか…」

「体を重ねれば俺の愛が伝わると思ったし、悠里も俺を許してくれるんじゃないかって…すごく浅はかな考えだったよ。
悠里はそんな子じゃないのにね。いつの間にか俺自身が悠里をその辺の女と同じように見てたのかも」

ーーーそうか。だから私の事を見てないような感じだったんだ…。

「馬鹿だよな。悠里はちゃんと話そうとしてくれてたのに勝手に突っ走って取り返しのつかない事して。
すごく反省してるけど、あれは強姦と言える犯罪レベルの行為だから悠里にどうするか決めて欲しい」

「どうするって…?」

「悠里が言うなら警察に行くし法的に罪を認めて償うって事だよ」

「そん…な…」

私はささやくようにしか声を出せなかった。

「たぶん悠里は俺が従兄弟だから気をつかってるだろ。犯罪者にするくらいなら自分が許せばいいってさ。でもそれは優しさでも許してる訳でもないよ。厳しくするところは厳しくしないと誰の為にもならない。
次こそ覚悟は出来てるから…」
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