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キセイジジツ
第11章 外出
悠里は言いたい事をある程度言えてスッキリしたのか椅子に腰を下ろした。
そんな悠里に手を伸ばし悠真は頭をポンポンと撫でてやった。
ーーーよく言ったね。
そんな気持ちを込めて。
悠里は悠真を一度見てすぐにカップへと視線を移し、ローズティーに手を伸ばして口に含む。
興奮を静めると急に喉が渇いたのかもしれない。
一気に飲み干すと手の甲で唇を激しく拭った。
ーーーワイルドだなあ。
悠真だけはこの雰囲気にそぐわない事を考えていた。
「でもね、たけちゃん」
落ち着きを取り戻した悠里の声はいつもよりトーンを下げている。
「そばにいて欲しいって言ったけど、それは恋人としてって意味じゃないの…」
健がビクッと体を震わせた。
「いろいろとあって、たけちゃんの事好きだから悲しくて苦しかった。でも自分と深く向き合ってみたら、その気持ちは恋愛とは違うって事に気づいたの」
ゆっくりと顔が上がっていく。
「本当にたけちゃんの事好きなら悪いとこも含めて認めて、支えていきたいって思うんだろうけど、私はそう思えなかった。許す事は出来ても、これから先を恋人としてたけちゃんと過ごしたいとは思えなかった」
「うん…」
「きっとたけちゃんは私の理想で、次第に増えていく理想までもたけちゃんに重ねていってた気がする。
たけちゃんは何も悪い事しない人だって、思い込んでた。ははっ…子供過ぎるよね…」
自嘲的に笑う悠里は泣きそうな顔をしている。
「そう思うのも…無理ないよ」
健は涙を止めて悠里を見つめていた。
「でも今回の事があって目が醒めた。誰でも悪い部分はあるんだって理解出来た。きっと私にも悪い部分はあるし、それに気づいてないだけで知らずの内に誰かを傷つけてるかもしれないよね」
「悠里はいいんだよ」
「たけちゃんはそう言うと思った。だからこそ、たけちゃんには恋人としてじゃなく従兄弟としてそばにいて欲しいの」
「え?」
「私にはきっと悪いことは悪いって叱ってくれる人が合ってる。たけちゃんが悪いんじゃなくて、たけちゃんは従兄弟っていう繋がりがあるから、最終的には私に甘くて厳しく出来ないと思う」
「それは…」
「あたり前じゃないよ。甘やかされるだけじゃ成長出来ないし。だから…ごめんね」
「ゆ…り…」
「たけちゃんの恋人にはなれない」