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キセイジジツ
第11章 外出

ーーーたけちゃん…

健への想いが変わる事はないと、健は私を責めたりはしないだろうと展開を読んでいたけれど
改めて健の想いを耳にすると胸の奥が痛んで私は涙を我慢出来なかった。

ーーー私だって……

「泣くなよ…」

健が手を伸ばして指で涙を拭ってくれる。

ーーーたけちゃんの指の感触…

まだそんなに日は経ってないのに懐かしく感じるのはなぜだろう。

私の頬を撫でるように動く手のひらはとても温かい。


「わっ…私だって…たけちゃんの事…好きでっ…」
「うん、分かってるよ」
「たけちゃんっ…だけって…」
「分かってるから」
「でもっ……ごめ…な…さい……」

「いいんだよ。悠里も俺も嘘はついてない。短い間でも気持ちが通じ合えて良かったよ」

「うぅーー……」
「もう泣くなって。可愛い顔が台無しだ。
悠真か淳、ハンカチかタオル持ってねーの?」

指だけではもう拭いきれないと判断した健が黙ったままの男二人へと視線を移す。

だけど悠真と築地は首を横に振るだけ。

「俺も人の事言えねーけど、タオルくらい持っとけよ。てか、淳は家なんだから何かあるだろうが」
「そ、そうだな。取って…」

私は自分の鞄を漁ってタオルを取り出す。

「大丈夫…自分のがあるから」
「女子は大抵、自分で持ってるからね」

悠真がジュースを飲みながら知ったような口をきく。

健は苦笑いをしている。

「なるほど…。とにかく、悠里も落ち着いて」
「うん…」



しばらくの間、みんなは私が落ち着くのを待っててくれた。

再び築地が淹れてくれたローズティーを喉に流し込んで顔を上げると、健は何か考えるようにコーヒーカップを見つめている。

その姿を見つめていると私の視線に気づいた健が顔を上げた。

「どうしたの?」
「いや…何でも…」

口ごもったままそのまま何も言ってくれない。

「そろそろ俺は帰るよ」

突然立ち上がると身支度をしながらテーブルの間をすり抜ける。

「もう帰っちゃうの?」

私が声をかけると足を止めて振り返る。

「うん。今日は本当にありがとうね」
「私もありがとう」

お互い微笑み合うと健は入口へと向かう。

ドアノブをひねると「あっ」と声を出してこちらを見た。

「悠里。恭介は本当に良いやつだよ」

ニコッと笑い、健は店を出ていった。
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