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キセイジジツ
第12章 作戦

保は三兄弟の中で一番、人好きされる容姿をしていてとにかく優しい。

健も元も優しい方だが保は自分の事より他人を優先するような人で、男としては頼りない印象を受けるのが難点。

例えるなら図体ばかりがしっかりとしたワンコ。
怒ったりしたところなんて見た事がない。


「悠里。何か久しぶりだな」

玄関先に段ボールを置いて保はニカッと笑う。

「うん、久しぶり。この辺の配達中なの?」
「あぁ、今日はたまたまな。これから隣町だけど」
「そっか。でも長田さんちで会うとは思わなかったな~」
「そういや恭介くんの手伝いしてるんだったな」

「そうなんです」

保と私の会話を黙って聞いていた長田が間に入る。

「悠里ちゃんには助けてもらってます」
「そうか。役に立ててるなら本望だな、悠里。残り短い間しっかりやれよ。じゃ俺はそろそろ…」

長田から判子をもらった伝票を受け取り保は身をひるがえす。

「恭介くん、悠里の事よろしく!じゃ!」
「もちろんです!荷物ありがとうございました!」

保は爽やかに手を振って去っていった。


私は保の言葉を振り返る。

『残り短い間しっかりやれよ』

ーーーそうだ。ここんとこ、いろいろあって忘れてたけど…もうあまり時間がない。

段ボールをヒョイッと持ち上げた長田がこちらへ視線を向ける。

「悠里ちゃん、居間に戻ろうか」
「あ…はい」

居間に戻って段ボールを開いた長田は「おっ」と短く声を出した。

「すごいな…」

声につられて段ボールの中を覗くと高級そうなお肉達がぎっしりと敷き詰められていた。

「うわぁ…すごい」

そんなの初めて見る私は感嘆の声を漏らす。

改めて伝票の差出人欄を確認した長田は「なるほど」と何か悟った感じでうなずいている。

「これは御中元という名の…」

そこまで言うと仕方ないという感じで眉を下げてため息を吐いた。

「悠里ちゃん。今日ウチで焼肉にしよっか」
「えっ…良いんですか?」
「ほら焼肉連れてくって約束してたし、店じゃなくてウチで良ければだけど」
「でもこんな贅沢なお肉…」
「俺一人で食べるのは寂しいからさ、いっしょに食べてくれると嬉しいな。あ、悠真くんも誘ってみようか」

そう言うとすぐに悠真へ電話をかける。

「……そっか。うん、分かったよ。じゃあね」

その様子からするに、どうやら断られたようだった。
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