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キセイジジツ
第12章 作戦
「あの…二人共…」
恐る恐る声をかけると二人共ハッとしたように睨み合うのをやめて笑顔を作った。
「さ~どんどん焼くぞ~」
「いっぱい食べよ~」
あからさま過ぎる態度だったが、ツッコむのも面倒なので私もそれ以上は何も言わなかった。
そして満足いくまで食べ続けた大和と私はソファーに体を預けて休憩している。
長田はお手洗いに行ってしまったので今だけ大和と二人きり。
その状況を警戒する私をよそに、大和はごく自然に隣に腰を下ろすとすぐ体を寄せてきた。
「ね、ちょっと近いよ!もう少し離れて!」
二人用ソファーだがスペースには余裕がある。
「えー別にいいじゃん」
強い口調で声を出した私を気にも留めず、さらに距離を詰めて腰に手を回してきた。
「ちょ…!腰触らないでっ」
「何で?」
「何でって…」
「俺の事、意識しちゃうの?」
「違うよ!いいから離してってば…」
大和の手を掴んで腰から離そうとすると…逆に手首を掴まれてしまった。
「え…」
「捕まえたっ」
気づいたら大和の顔が目の前にあった。
「悠里ちゃんさ、俺と付き合おうよ」
「…腕…離してっ…」
「付き合ってくれるなら離す」
「いや…大和くんとは付き合えない…」
「好きな人いるの?」
「う…ん」
私が目を伏せると大和は「ふっ」と笑った。
「好きな人いてもいいよ。俺を好きにさせるから」
「何言って……っ…!?」
目を上げようとすると首筋に何かぶつかって少し痛みを感じた。
ーーーこの痛みは……
大和が首筋に唇を寄せて歯を立てていた。
「あっ…」
「体から調教してあげるから」
私を見つめるその目は卑しく光っている。
怖いと思った。
健との時とは違う、背筋を汗が伝っていくような感覚に改めて身の危険を感じた。
「や…めて…」
唇を噛み締めて首を横にブンブン振って拒否するけれど、舌で首筋をしつこく舐められる。
「俺とのセックスを知ったら…やみつきになるよ」
耳元で囁かれて鳥肌を感じた。
大和が首筋から顔を上げて唇を近づけてくる。
「い…やっ…」
ーーー嫌!嫌!キスしないでっ!
出来る限り顔を逸らして目をギュッと閉じる。
ーーーあ…あれ?
しばらくしても唇には何も当たらないので、そっと目を開けると…
いつの間にか戻ってきていた長田の手が大和の口元を押さえていた。