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キセイジジツ
第12章 作戦
長田が居間に戻ると、大和は言われた通りに食器を洗ってテーブルまでキレイに片付けていた。
ーーー根はいい子なんだけどなあ。
扉に寄りかかって見つめていると大和が視線に気づく。
「あっ…」
さすがにやりすぎたと思ってるのか気まずそうに目を逸らす。
「お前さあ…親父さんと何があった?」
「えっ?」
悠里との事を責められると思っていたのか呆けた顔を上げて目を見開いている。
「この前俺に偉そうな事言っといて…本当は女の経験なんてろくにねーんだろ?」
「やっぱ…バレてた?」
「腰触っとけば女は落ちると思ってるだろ。女心はそんな簡単じゃねーぞ。それに悠里ちゃんにキスしようとして震えてたしな。ふっ…」
「ははは…」
大和は苦笑いをしながらソファーに横になる。
「…親父がさ、若い女と浮気してた」
「は?」
「今日たまたまラブホの近くを通りかかった時、親父と女が出てきたんだよ」
「うわー…」
「まじ焦って…親父を一発殴ったんだ」
「殴った?!」
「うん。母ちゃんの代わりに」
「…まあ…殴るわな」
「それでウチに帰る気にならなくて…」
「なるほどねえ」
ーーー親父さんもまだまだ若いなあ。
でもこのままだとなあ…
「やっぱり今日は帰りな。送ってやるから」
「えっ何で!?」
「お前がウチを飛び出したところで何も変わらないよ。それより母ちゃんの味方になって親父さんと話し合うのが一番だと思うけど」
「母ちゃんに言わなきゃいけねーの?!」
「黙ってたら親父さんは浮気を続けるんじゃないか?」
「あ…」
「だろ?親父さんを止めるのも、母ちゃんを支えるのかもお前次第だよ」
「うん…」
少し納得したのか大和は起き上がって拳を握った。
「俺…帰る。送ってもらっていい?」
「あぁ。行こうか」
二人で玄関へ向かう。
「言い忘れたけど、悠里ちゃんには今度謝っとけよ」
「うん…」
「何だよ。…悠里ちゃんの事本気なのか?」
「うん。一目惚れ…」
「ほお…まああんな事したら嫌われるのが普通だけどな」
「や、やっぱ嫌われたかな?!」
「そんな焦るなら初めから止めときゃいーのに」
「好きな子にはちょっかい出しちゃうんだよ…」
「ふーん。分からなくもないけど、やり方間違えたら逆効果。いい勉強になったな。もう諦めろ。はははっ」
「えー!?」
長田は笑いながら大和を家へと送り届けた。