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キセイジジツ
第13章 確信
居間のテーブルにはデミグラスソースがかけられたチーズハンバーグやコーンスープ、彩りのよいサラダが用意されていた。
よく見ると食器の使い方や並べ方にも気を遣ったのか、バランスが良くて私は感動していた。
「うわぁぁー…、すご…ぃ!」
まるで店で出されるような出来ばえにすっかり空になった胃袋が反応する。
「ぐうぅぅぅー……」
しまった…とすぐお腹を押さえるけどすでに遅くて隣にいる長田が「ははっ」と笑う。
「恥ずぅ……」
「ずっと食べてなけりゃお腹空くのあたり前だし恥ずかしくないよ。ほら冷めない内に食べよっ」
促されて椅子に腰を下ろすと長田が手を合わせて待っていて、私も手を合わせて二人で「いただきます」と挨拶した。
寝起きに長田が発情した事でまた眠ってしまった私が目を覚ますと時刻は午後5時を回っており、先に起きた長田が食事を用意してくれていた。
冷蔵庫をチラ見した時に挽き肉はなかったのを思い出し買い物も行ってくれたんだなあとありがたさを感じる。
「すごく美味しい!私、ハンバーグ大好きなんですよ~。長田さんは何が好きですか?」
大好物なハンバーグが出てきた事に興奮した私は
長田とは食の好みの話はした事なかったと気づく。
ーーーしゃぶしゃぶは連れてってもらったけど一番ではないし…ケーキとか水ようかんはデザート系だし。
毎回よくしてもらって自分は何も返せてないなあ…と反省しつつ長田の事を知りたい気持ちもあってワクワクしながら話を振った。
「うん、ハンバーグ大好きって知ってるよ。だから作ったんだ~。ちなみに俺も大好き」
「えっ。あぁ…、悠真ですか?」
好物を知ってる人間なんてそうそういない。
「そう、悠真くんから。でも一番しか聞いてないんだ。悠里ちゃんの事まだまだ知らない事ばかりだなあ…」
「…私だって長田さんの事、全然知らないです」
「そうだね…」
何となく暗い雰囲気になった気がした。
おもむろに箸をお茶碗に置いた長田が「でも」と腕を伸ばして私の口元を触る。
「誰でも最初は他人だから、知らなくてあたり前だよ。俺達は俺達のペースで進めばいいんじゃない?
んまあ…もう悠里ちゃんの体の事は大体知っちゃったけどね?」
口元から離れていく指にはデミグラスソースがついていて長田はそれを当然のようにペロッと舐めた。