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キセイジジツ
第13章 確信

ある程度、年齢を重ねてからこそ思う事がある。

喜怒哀楽という感情に関しては対応が出来るのだが、驚きという感情に至ってはどう対応していいのかが分からない。

テレビとかで【びっくり仰天】とか【驚愕のラスト】というフレーズを耳にしても、いまいち共感出来ない自分がいた。

だからこそ、よほどの事がない限り、驚愕する事はないだろうと思っている。


そもそも【驚愕】とはーーー
非常に驚く事。大きな驚き。

自分にとっての"よほどの事"が起これば驚愕に至る訳だけど、そんなのはたかが知れてる。


そんな俺でも約22年生きてきた中で多少なりとも驚いた事はある。

友達がサプライズで誕生日を祝ってくれた時は喜びながら少し驚いたし
女の子から頼んでもないのに高級時計をプレゼントされた時も、何で?という冷めた感情が勝ってしまったけどそれなりに驚いた。

昔ヤンキーに拉致られた時も、マナに騙された時も、恭介に悠里への気持ちを打ち明けられた時も驚きはした。

でも言葉が出なくなるとか、体が震えるとか、腰が抜けるとか典型的な驚き反応は、生まれてから覚えてる限り一つも経験した事はなくて…
これから先もそんな感情は経験しないんだろうと思っていた。


思ってたのにーーー

「あれ、健?」

目の前に現れた人物を見て俺は記憶の中に封印されていた"パンドラの箱"が開くのを感じた。


ーーーそうだ……、そうだった。
俺が驚かなくなったのには…理由があった。


幼い頃の記憶が蘇っていくーーー


それは十数年前の夏。
みんなで川遊びに来ていた時まだ体が小さくて水が苦手だった俺は兄貴達の後ろをついてまわりながらも、川にだけは入ろうとしなかった。

浅いとは分かってはいてもどうしても怖くて、楽しそうに浮き輪で浮かぶ兄貴達を見つめてため息を吐いている俺に突然、悲劇が起こる。

すぐ後ろに立っていた人物が何の前触れもなく俺を川へと突き飛ばしたのだ。

まさかの水中に投げ出された自分に驚きながらも必死にもがいて助けを求めた。

大量に水を飲んでしまったが無事に兄貴達に助けてもらって安堵している俺に、突き飛ばした人物はこう言ったのだ。

「ほら、浅かったでしょ」

謝る事もせず、冗談だと笑う事もせず、ただ淡々と腕を組んで見下ろしてくる人物を
俺は悪魔だと認識した。
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