この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
キセイジジツ
第13章 確信

悪魔の行いはなぜか俺だけに向けられていた。

兄貴達とは年齢は近いのに体の成長が俺だけ遅くてチビで、小さな事にもすぐ驚いてしまうビビりだったのが悪魔には格好の標的になったんだと思っている。

他にもコオロギを「ゴキブリ」と偽って背中から服の中に入れられたり
走るのが遅い俺を「鍛える」と言って追いかけてきながらペースが下がるとBB弾を撃たれたり
やっと炭酸を飲めるようになった時は「コーラ」と言われて渡されたのが苦いコーヒーだったり

一つ思い出すと、出てくる出てくる。

とにかく俺をヒビらせようと悪魔は散々嫌がらせをしてきたのだ。

今まで思い出さなかったのは悪魔への恐怖心と、自身のビビりだった部分を忘れたかったからかもしれない。

ーーーこれこそ、誰にも知られたくない過去ってやつだな…。



「ちょっと、何呆けてんのよ。口元がだらしないわよ」

悪魔の囁きが耳へと届き、俺は意識を取り戻す。

「しかもそんなとこに座り込んで…。ん?何、あんた震えてんの?体調悪いんじゃ…」

ーーー何とでも言えばいい!もう俺はあの頃のやられるだけの男とは違う!

心の中で威勢を張りながらも、自分の状況はよろしくない事に何となく気づく。

そう、俺は悪魔と目が合った瞬間ーーー

腰が抜けて座り込み、体を震わせて、何も言えずにただ悪魔を見上げていたのだから。


「キミ、大丈夫?」

その時、悪魔の隣にいた好青年が俺に声をかけながら手を差しのべてくれた。

誰だろうと思いながらもその手を借りて立ち上がると悪魔が口を開く。

「健、こちらは本城 旋(ほんじょう せん)さん。私の幼なじみ。名前くらいは聞いた事あるでしょ?」

「どうも」

爽やかに微笑む顔に見覚えはないけれど…

ーーーほんじょう、せん?…せん…せん…せん!!

「あぁっ!」

俺が目を見開いて声を上げると悪魔がため息を吐く。

「分かったようね。てか、あんたここで何してんの。一人?」
「いや、友達待ってて…」
「ふーん。ま、私達はそろそろ行くわ。あとでお土産持ってくから。じゃあね」
「あぁ…うん」

悪魔はあっさりと好青年と共に去って行った。

好青年はにこやかに微笑みながら何度も手を振ってくれたのだが、悪魔は一度も振り返る事なく。

ーーー根は変わんねーな。

額に浮かんだ脂汗を拭いながら悪魔の後ろ姿を見送った。
/270ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ