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キセイジジツ
第13章 確信

車で揺られながら私は高校へ入学した当初の事を思い出していた。


16年間生きてきた中で男性から告白というものをされた事はそれなりにある。

勇気を出して顔を赤く染めながら想いを伝えてくれる事はとても嬉しくて、自分から告白をした事のない私はそんな人達を尊敬していた。

それでも、私には好きな人"健兄ちゃん"の存在が常に心にあったし、その想いには応える事は出来ずに断り続けていたある日の事…

「ちょっと顔かしてくれる?」

上級生のお姉様達に校舎裏へと呼び出された。


ドラマやマンガの読み過ぎな私は
『これは…集団リンチ…?!』
とマイナスな想像しか出来なくて、悠真はもちろん親友の律が遠くから見守る中、上級生五人組が待ち構える校舎裏へと向かった。

「あ…あのぉ……」

ビクビクしながらもリーダーらしき人物に声をかけると、その人は鋭い目付きのままこちらへ振り返る。

「遅かったね。この事は誰にも話してないよね?」

問い詰めるような口調に私は「は…ぃ」とか細い声で答える。

実際はこちらを見れる範囲内に悠真と律がいるのだが、この迫力を前にそんな事を言えるはずもなく。

ーーー私…何かやらかしたかなあ…。

脳味噌フル回転で考えてみるも思いあたる節はなくて、言いがかりをつけられるのかなあなんて思っているとリーダーの横にいる女性がモジモジしながら前に出てきた。

「えっと……」

ーーーあれ。この人何か……

その女性には何となく見覚えがあって誰だったか考えながら言葉の続きを待っていると、手にした何かをズイッと差し出された。

「え?」

それはどこから見ても普通のデジタルカメラで、どうして差し出されたのか分からずに首をかしげていると、モジモジした女性の代わりにリーダーが口を開く。

「佐田さんさ、悠真くんのお姉ちゃんだよね」

「へ?…あっはい。そうですけど…」

まさかの悠真の名が出て一瞬気が抜けたけど、何となくリーダーの言いたい事は解った。

「この子、悠真くんの事が好きで何度も告ってるんだけど毎回玉砕しててさ。付き合う事が出来ないなら、せめて悠真くんの写真一枚くらい欲しいらしくて…」

ーーーやっぱり、そういう事か。

「あ、良いですよ」

「やっぱストーカーみたいで気持ち悪……って良いの?!」

リーダーもモジモジさんも驚きを隠せない表情をしていた。
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