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キセイジジツ
第13章 確信
私はまくし立てるように話し続けた。
頭が混乱しているのもあり、出来事が多少前後したり、律が知らない長田や築地に関しても何となくの特徴を付け加えながら、話していった。
話しながら健の事は自然と過去形になっている事に自分でも気づきながら。
すべてを話し終えると少しスッキリした。
「……ってな感じでえぇぇ……うえぇ……」
顔は涙と鼻水でグチャグチャになっているけれど。
「うーん…、なるほどねえ……」
律はしばらく黙り込んで何か考えているようで、でも私は自分の涙腺が緩みっぱなしな事に精一杯で、まるで子供のようにわんわん泣き続けていた。
それもしばらくすると治まってきて鼻をグズグズさせていると、律が「少し落ち着いた?」と声を出した。
こんな時いつも律は私が落ち着くのを黙って待っていてくれる。
小学生の頃、同じクラスの女の子と衝突してメソメソと泣いて律に話していた時
「りっちゃんは優しいね」
と感謝の気持ちを込めてそう言うと
「だって、泣かれてちゃろくに話も出来ないし。それに、別に慰めて欲しい訳じゃないでしょ」
とクールな一言が帰ってきた。
ーーーた、確かに。
と納得しつつ、薄っぺらい同情より、厚い確かな友情を感じた私はそれ以降、律だけを女の子の親友だと思っている。
そんな少し大人びた考え方をする律の意見は私の中では誰より優先事項であって、何よりも信頼しているのだ。
神頼み、ならぬ"律"頼み。
「まず、健さんの事は残念だったね。私は一度しか会った事ないけど…本当の妹のように悠里を可愛がってたし、そんな感じの人に見えなかったから私も残念」
そんな感じの人、という言葉に胸が痛む。
「まあ…でも、悠里への想いに苦しんでの事だったんだし、許してあげたのが正解だよ。悠里は理解出来ないかもしんないけど、今時そんな人うじゃうじゃいるからねー」
「えっ…。りっちゃん、まさか…」
「いねえよ!今のはサラッと流しなよ。…んで、健さんの事が終わったと思えば、夢の"キミ"との事で悩んでると。…名前、何つったっけ?」
「長田…恭介さん」
「恭介さんね。その恭介さんは悠里の事、好きって言ってくれて、しかも待つとまで言ってくれたんでしょ。んまあーすでにエッチしちゃってるとこで、待つもクソもないけどね」
「そうなんだよねえ……」