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キセイジジツ
第14章 訪問
真悠子が大学を卒業するまでは時間が合えばいっしょに入浴する事が多かった。
「いっしょに入ろう」と特に約束したわけではなく、片方が先に入ってたら片方が乱入するパターンがほとんどで、真悠子が家を出てからは何となく一人で入るのを寂しく感じていた。
いくら双子でも、悠真とは入れなかったからだ。
そんな事を思い出しながら湯船に浸かっていると「久しぶりにいい?」と真悠子が声をかけてきたので、いっしょに湯船に浸かっている。
「髪バッサリいったね」
腰の位置まであったはずの長い髪が今はとても短い。
ベリーショートというやつだ。
「意外と似合うでしょ。楽チンよ」
軽く微笑む真悠子の表情に後悔などの色は見えなくて。
「似合ってる。…でも見慣れないなって」
「そのうち見慣れるよ」
「うん。…東京には慣れた?」
「何とかね。人酔いするけど」
「ははっ人の多さに?あ、近い内に悠真と遊びに行こうと思ってた」
「うん、来て。旋もいるけど」
「…旋さんと住んでるの?」
「うん、シェアってやつ。お金はほとんど旋が払ってくれてるけど」
「ふーん。楽しそう」
「それなりにね」
しばらくお互い黙っていた。
別に気まずいとかではなくて、黙りたい時は黙るのが真悠子と過ごす時のルールみたいなものだ。
「悠里。彼氏出来た?」
「何で?」
「首のとこ、キスマークついてる」
「あっ…」
「旋と悠真は気づいてないよ」
「うん…。まだ彼氏じゃなくてね」
「やるわね、さすが私の妹」
「でも好きって言ってくれてて…」
「そっか。いい人なの?」
「うん…」
「そっか。…避妊はするのよ」
「…まゆちゃんもね」
「はははっ」
「ふふっ」
私は真悠子の事が大好きだ。
頭良すぎて思考回路が一般からかけ離れていて、やることなすこと大体がぶっ飛んでるけど、変なとこで真面目で正義感強くて律儀なとこを尊敬している。
伝説を作っちゃうお姉ちゃんで普通とは違うけど、真悠子が姉ってだけで周りから恐れられた事もあったけど、真悠子意外のお姉ちゃんなんて考えられない。
「まゆちゃんが来てくれて良かったな~」
「お小遣いはないわよ」
「違うよ~。本当にそう思ったんだよ。まゆちゃんがお姉ちゃんで良かったあ…」
「私も悠里が妹で良かったよ」
二人で笑いながら背中洗いっこをして姉妹の親睦を深めた。