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キセイジジツ
第14章 訪問
長田の家に帰り着いたのは午後1時を過ぎたところで、コーヒーを淹れてくれてる長田を待つ間にDVDの準備を済ませる。
「お待たせ。はい、コーヒー。クッキーもあったから食べていいよ」
ソファーに腰を下ろすと隣に座る私の腰に手を回して体を寄せられた。
ーーー大和くんとは大違い…。
長田の手は温かくて、ドキドキした。
リモコンを扱って再生させたのは洋画で好きな作品の一つの【君に●む物語】
何度も見てストーリーは頭に入っているけど、昔から好きな人といっしょに見るのが密かな夢だったのだ。
ーーー長田さんと見れるなんて嬉しい!
密かな夢が今、叶っていく。
しばらく見続けていると緊張が迫ってきた。
そう、セックスシーンが始まったのだ。
男女が濃厚に絡まっていくのを私達は黙って見ている。
それが何だか"いけない事"のような気がしてドキドキがさらに増していき、そんな自分を知られたくない気持ちも相まって身が固まっていく。
ーーー動けない…。でも全く動かないのも変かも。喉渇いたしコーヒー飲も…
そう思いながら前のめりになってコーヒーを啜ると長田もコーヒーに手を伸ばした。
チラッと横顔を見てみるとごく普通の顔をしていて、こんなの慣れてるんだろうなと思った。
ーーーアダルティーなDVDに比べたらこんなの全然だろうし。ドキドキしてる私がレベル低いんだろうな…。
大人しく映画に集中する。
そしてーー
映画はラストへと向かっていき、毎回泣いてしまうシーンになって静かに涙を流していると、膝上にそっとティッシュの箱が置かれた。
ーーーバレてた…。
素直にティッシュを取り、鼻水を拭きながらチラッと長田を見て驚いた。
私と同じように静かに泣いていたから。
ーーーえっ…泣くんだ!?かなり意外…!でも…
何も言わずにティッシュを渡すと、ふっと笑いながら鼻を押さえていて。
ーーーでも…泣き顔見れて嬉しいかも。
映画見たくらいじゃ泣かないだろうと思ってた。
でも私の好きな作品で泣いてくれて、自己満足かもしれないけど嬉しくて、いつの間にか嬉し泣きに変わっていた。
そして大きな手が私の頭に触れる。
そのまま引き寄せられて長田の肩に頭を乗せる体勢となる。
ーーーふふっ、落ち着く。
ドキドキしたり、落ち着いたり、恋愛って忙しい。