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キセイジジツ
第2章 再会

「あ、はい。大丈夫です。すみません、気を遣わせてしまって…」
「いや、俺は平気」

ーーーこの人、無愛想なだなぁ。

そう思っていると'恭介'さんは冷蔵庫を開けてコップにポカリスエットを注いで私に渡してくれた。

「とりあえず、水分補給して」

「あ、ありがとうございます」
「いえいえ」


ポカリをゴクゴク飲んでいると慌てた様子の美咲さんが駆け寄って来る。

「悠里ちゃん、大丈夫?」
「はい。水分補給したら平気になりました」


「それじゃ俺はこれで…」
'恭介'さんがキッチンから出て行こうとする。

「あの!お気遣いありがとうございました!」

勢いよくお礼を伝えた私に返事はせず、
手を軽く上げてから行ってしまった。


「恭介くんがポカリを?」
「はい、助かりました」

「そう……」
美咲さんはなぜか神妙な顔をした。

「どうかしました?」

「ううん、何でもないよ」
いつもの美咲さんに戻る。


足音がして元兄ちゃんが来た。

「ばあちゃんに電話して、今日ウチに泊まらせるって言っといたから」
「あっうん。ありがと」

「部屋で休む?」
「まだ起きとく」

「何かあったら言えよ」
「分かった」

元兄ちゃんは安心した顔をする。

「じゃー俺戻るわ。美咲、頼んだ」
「りょーかい」

ビール片手にリビングへ戻って行った。


「悠里ちゃん」
「はい?」

「何があったの?」
ビクッとしてしまった。

「別に何も…」
「私に話せない事?」

「…はい」
「そっか」

美咲さんもお酒を飲んでいる。

「私の独り言だと思って聞いてね。
……生きてるとさ、いろいろあるよね。
楽しい事、嬉しい事、悲しい事、辛い事とか数えきれないほどたくさん。
私も昔は誰かに迷惑かけたくなくて何でも一人で抱えこんでて、気付いたら暗闇に一人きりで。
どうせ私なんかって周りからの優しさも突っぱねてた時期があってね。
そんな私に我慢するな、辛い事こそ吐き出せーって真剣に向き合ってくれた人に救われたの。
だからね、私も誰かが困ってたら手を差しのべられる人になろうと思ってるんだ」


美咲さんの目が優しさを帯びている。

「困った時はいつでも頼ってね!」

「…はい」
素敵な女性だと思った。

美咲さんが元兄ちゃんの婚約者で良かった、と心から思った。
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