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キセイジジツ
第14章 訪問
そうして長田はアメリカ行きをはっきりと決めた。
寂しい…、寂しいけど、一人きりではない。
それぞれの生活が待っていて、つつがなく過ごしていくだけに過ぎないけれど、私達のそばには誰かが必ずいるから一人なんかじゃない。
「8月後半と9月は時間作って会いに行く。何が何でも会いに行くから、ちゃんと会ってね」
「もちろんです」
「浮気しちゃダメだよ。いや、悠里ちゃんがしなくても男から迫ってくるパターンがあるか…」
「そんな心配しなくても大丈夫ですよ!」
「いや、念には念を…その辺は悠真くんに任せるとして…」
「悠真といつもいっしょにいるわけじゃ…あっ」
「えっそうなの?!それやばいな…」
「やばいって何ですか…やばいって。長田さん、キャラ変わってません?」
「え、俺元からこんな感じだよ。いやでも、今はだいぶテンション上がってるかも。…どちらにしても、嫉妬深いから気をつけてね?」
ニヤリと笑うとソファーに腰を下ろした。
「その分、一途だから浮気の心配はないよ!」
「それ…自分で言う事じゃないような…」
「悠里ちゃんっ!」
肩をガッと掴まれる。
「えっ…」
「俺の気持ち伝わってない?」
「いえ、伝わってます…」
「じゃ…悠里ちゃんの気持ちは?」
「はい?」
「俺にちゃんと伝わってると思う?」
「あ…はい」
「いいや、足りないよ!」
「ええっ!」
「ちゃんと教えて?」
見つめてくる目は大真面目だ。
「ほらっ早く!」
「ええっ…いや…その…」
面と向かって言うとなると恥ずかしすぎる。
でも言わないと今のテンション上がった長田は許してくれないだろう。
覚悟を決めて…言うしかない。
長田の顔が近いけれど深く、ゆっくり深呼吸する。
「あ…、あの…私、
長田さんが………好きです………っ!」
さっき一度、サラッと言ってしまったのはなかった事にして…、とうとう気持ちを打ち明けてしまった。
ボボボボ……と顔が赤くなっていくのを感じて両手で顔を隠す。これでひとまず安心だ。
でも長田がそれを許してくれるはずなくて。
「そっか、俺の事好きになってくれたんだ?うん、やっと好きになってくれて嬉しいなあ…。俺ももちろん悠里ちゃんが大好きだよ。悠里ちゃんの事、あんな事やこんな事して可愛がりたいくらいに…ふふっ」
長田の言葉責めが始まった。