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キセイジジツ
第14章 訪問
両手を掴まれて顔から離されていく。
目に入るのは艶やかに微笑む長田の顔。
「悠里ちゃんの心も体もすべて欲しい…他に代わりがきかないくらい悠里ちゃんが好きだよ」
ーーー他に代わりが…?
言葉のアヤだろうが私は引っかかってしまった。
ーーーそうだ。まだ解決してない。
それが分からないとモヤモヤし続けるだけで、会えなくなってしまう事よりも、分からない方が私にはキツいかもしれない。
「ながた、さん…」
「…どうした?」
ただ事ではない私の様子をすぐに察知してくれる長田はやっぱり素晴らしい。
今は言葉に出来ないけれど。
「ずっと気になってて…聞けなかった事があるんです」
「うん、何?」
「えっと…、その……」
「そこまで言ったなら全部吐き出した方が楽になるよ」
「そ、そうですよねっ…」
深呼吸して鼓動を落ち着かせて長田を見つめた。
「長田さんは……どうしてそんなに、エッチが上手なんですか?!」
「……へ?」
長田はポカンと口を開けている。
「…こんな事聞くなんてっ、申し訳ないです!でも…築地さんから長田さんは『一度も彼女いなかった』と前に聞いていて………体を重ねてから違和感を感じてたんです…」
「…そういう事か…」
「聞くかどうかも迷ったんです…長田さんにだって過去はあるんだからって…。でも、もしそれが健兄ちゃんみたいな事だったら…って思うと…いてもたってもいられなくて…」
「あ…」
「もう私、傷つきたくないんです…。今ならまだ間に合うから…これ以上長田さんの事を好きになる前に……っ」
長い腕が伸びて私の体はたくましい胸元に引き寄せられた。
「もしかして、昨日帰り際に様子がおかしかったのは…これのせい?」
「…はい」
「なるほど。…でもそんなに悩ませていたとは。でもね、それは悠里ちゃんの考えすぎだよ。俺本当に彼女は一人もいなかったし、体だけの関係の子もいないよ」
「それなら…」
「どうして上手いのか?って事だよね。ははは…誉めてもらえて嬉しいよ。まあ…何て言うのかな、努力の賜物…みたいな?」
思わず顔を上げると長田は苦笑いしていた。
「一度だけ、風俗に行った事はあるんだ。でも好きでもない子と抱き合うのは全然気持ちよくなくてね。…それからは女の子はもちろん、俺も気持ちよくなれる方法を勉強したんだ」
ある意味、衝撃だった。