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キセイジジツ
第15章 距離

あれから真悠子は旋を本当に家から追い出しながら「出かけてくる」と悠真を捕まえた。

首根っこを掴まれた悠真は「なんで俺ぇ?!」と抵抗むなしく連れていかれてしまった。

そんな姿を見送り私の部屋へと移動してきたのだ。

「りっちゃん大丈夫?」

律は私のベッドに身を投げ出して天井を仰いでいる。

「あー…あんま大丈夫じゃない」
「だよね。前もって連絡するべきだったね…ごめん」

祖母宅で旋と会った時にすぐ連絡すればよかったのだが、長田との事でいっぱいいっぱいな私は忘れてしまったのだ。

「りっちゃん話聞いてくれたのに……」

律は電話してきてくれたのに、私は薄情者だ。

自分が情けなくてうなだれると律は軽く笑う。

「はくじょーものー」
「うっ…」
「ははっ、冗談だって。悠里が電話くれたとしても状況は変わんないよ」
「そうだけど…」
「あの人はさ、いつもあぁだから慣れてるし。でもなに喋ればいいか分かんなかった」

律は旋の事を私の前では“あの人“と呼ぶ。

ーーー兄妹なのに……。

「あの人いつまでこっちいるんだろ…」
「確か一週間はいる予定みたい」
「一週間っ?!」

律がベッドからガバッと起き上がる。

少しだけ青ざめている。

「まじ……?」
「うん、まじ。まゆちゃんが一週間こっちにいるからそれに合わせて帰るって」

ニコニコと笑っていた旋の顔を思い浮かべる。

律の顔がどんどん歪んでいく。

「うわぁ…」
「アレなら、しばらくウチ泊まっていいよ?」
「えっ本当?!いいの?」
「うん。私に出来る事はこれくらいしかないし」
「…ありがと」
「これで薄情者はチャラにしてね」
「ははっ、りょーかい」

いつもの律の顔に戻って私はホッとする。

「……で、長田さんは?」
「それがさあ……」

長田の作品展の事、アメリカへ行く事、昨日の出来事をすべて話した。

「なーるー。スーパー遠距離が待ってるわけね」
「うん…」
「まぁしょーがないか。でも悠里、いい女じゃん。そこ泣きわめくかと思ったよ、行かないでーって」
「泣き…わめきたかったけどね。行かないでとは言えなくて…。それに重い女は嫌われるってネットで見たから」
「ネットって…耳年増ならぬ、目年増だね」
「好きに言って…」
「ぷっ」
「ぷぷっ」

切ない気持ちを吹き飛ばすように、私達はしばらく笑っていた。
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