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キセイジジツ
第15章 距離

翌日、8月18日は律の誕生日。

いつも仕事が忙しい律の両親も毎年この日だけは早めに帰宅する。

そして悠真と私は昼間に律と会ってお祝いをするのが恒例となっている。

昨年は受験で余裕がなかった私達は『来年は遊園地行こう!』と約束していたのだ。

「いや、遊園地に来れたのは嬉しいんだけどさ……」

律の声が固くなっている。

「何で……」

悠真も驚きを隠せないようで口を開いている。

電車に揺られて一時間のところにある遊園地に到着した私達三人は入場ゲートで予想外の人物に遭遇した。

「あれ?律に、未来の妹と弟だ」

首をかしげながらも微笑む事を忘れないその人は確かに律の兄の旋。

私達が何も反応出来ずにいると旋の数メートル先にいた人物がこちらへ振り返る。

「ちょっと旋、早く……え?」

その人は予想通り、真悠子だ。

「……出かけるって言ってたのってここだったのね」

こちらへ歩いてくると悠真と私に向って口を開く。

「そういう事なら車に乗せたのに。お金もったいないでしょ?」

真悠子は昔からお金に関してうるさい。

無駄遣いしようものならかなりの形相で説き伏せられてきた。

「ううんっ、いいの!私達、電車で来たかったから!お金だってコツコツと貯めてきたものだしたまにはいいかなって。ね、悠真?」
「あっうん。俺が最近電車に興味があってさ写真も撮れたし一石二鳥ってやつだね。ていうか、まゆちゃん達は何でここに?」

とりあえずこの場を乗り切ろうと悠真が話を振ると、真悠子はほんの少し頬を赤らめた。

「いや、旋が入場券持ってるって言うから……」

真悠子が照れているのだ。

姉のこんな姿を見た事がない悠真と私は顔を見合わせる。

ーーーまゆちゃん照れてるよね?!
ーーーうん!確実に照れてる!!

目と目で会話をしていると真悠子の隣にいる旋がふふっと笑った。

「そう、真悠子とデートなんだ」
「ちょっと違うでしょ!」
「違わないよ。ひどいなあ。俺こんなに真悠子の事…」
「あーうるさい!ほら行くわよ!悠里達またねっ」
「いたたたた……」

真悠子が旋の二の腕をつねり、そのまま腕を引っ張って歩いていく。

旋は真悠子にされるがまま笑いながら私達に手を振っていった。


「まじ神出鬼没すぎ……」

ずっと黙っていた律がため息混じりに小さくつぶやくのが聞こえた。
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