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キセイジジツ
第15章 距離
「……てな訳で、旋さんもただの変な人ではなかったみたいだね」
晩ご飯のあと、悠真の部屋で話を聞いていた。
内容はもちろん、真人と旋の会話の事と旋が持っていたものについて。
「そっか…」
「まぁ旋さんをどうするかは結局、りっちゃん次第だね。俺たちは見守るしかできないよ」
「うーん…」
私は何となく腑に落ちなかった。
旋さんの事は昔から知ってる。
知ってるからこそ、今になって何で?という気持ちでいっぱいで、旋が何か企んでるんじゃないかと疑ってしまう。
ーーー何考えてるんだろ、旋さん。
「でもまさかプレゼントを用意してるとはねー」
悠真はベットに横になって天井を見つめている。
私はベットを背もたれにして床のクッションの上に座り、首をひねって悠真の方に顔を向ける。
「で、プレゼントの中身はなんだったの?」
「んー、それは教えてくれなかった。あとでりっちゃんに聞いてみよ」
「そだね」
頷いていると部屋のドアがノックされた。
「入っていいか?」
真人の声がして悠真が身を起こす。
「いいよー」
悠真が返事をすると真人が入ってきた。
紙袋を持った真人は真っ直ぐ私のところまで歩いてきて、隣に腰を下ろす。
「悠里、これ」
「え?」
紙袋を渡されて首をかしげると真人はふっと笑う。
「後輩から貰ったお菓子。俺食べないから悠里にやる 」
中を覗くとチョコレート菓子や保存のきく洋菓子が大量に入っていた。
ーーーああ…後輩って絶対、女の人だ。
真人兄ちゃんモテるからなあ…と思っていると、いっしょに覗いていた悠真がすげーと声を漏らす。
「真人兄、俺にはっ?」
目をキラキラさせて尋ねる悠真に真人はため息を吐く。
「お前にはない」
「えっ何で!」
「何となく」
「何となく?!ひでえ!ていうか、悠里一人じゃ食べきれないって」
「悠里がくれるって言うなら分けて貰えばいいだろ。それにこれくらい貰えるような男になれ」
「えー…」
一気にテンションが下がった悠真は真人とは反対側の隣に腰を下ろす。
真人とは違って甘いものが大好きな悠真は紙袋の中身を物欲しそうな目で見つめる。
「そんな目しなくても分けてあげるから。どれがいいの?」
「まじで!ん~どれにしようかな~」
小さい子みたいにはしゃぐ悠真を放って、真人に目を向けた。