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キセイジジツ
第2章 再会
「ちゃんと洗濯してくれてる叔母さんに感謝だね!」
ーーーあぁ、もう。
「悠里…その体操服、俺も嗅いでみていい?」
「え?うん、ほらっ……」
悠里は首元の生地を少し引っ張って、俺の方に差し出した。
でもすぐにハッとして動きが止まる。
ーーーもう、遅いよ。
肩に手を置いて遠慮なく首元に鼻を近付ける。
ーーー確かに洗濯されてる匂いだ。
クンクンと鼻を鳴らして匂いを嗅ぐ。
ーーー悠里の匂いの方が俺には強いけど。
「うん、良い匂いだ」
顔を上げると悠里は真っ赤になりながら目を閉じていた。
「次は悠里が俺の服、嗅いでみて」
「えっ……なんっ……」
目を見開いて戸惑いながら俺を見上げる。
「ほら、ここだよ」
悠里の後頭部に手を回し、頭を引き寄せて鼻を俺の首元に付けさせる。
「どう?」
「っ……!」
悠里は俺から離れようとするけど、簡単には離してやらない。
「同じ匂いした?」
観念したのか、コクンと頷いた。
ーーー可愛いなぁ。
「よし、そろそろ寝ようか」
また頷くだけの悠里をガバッと抱きかかえて…ベットに優しく寝かせた。
揺れる瞳が俺を見上げる。
「おやすみ、悠里」
頭を撫でて俺は悠里に背を向けて横になった。
ーーー寝れるわけねぇ。
他の事を考えて、悠里の事を考えないようにする。
ーーーあれ、次の現場どこだったかな。
明後日にでも親方に電話してみよ。
そう考えてたのに…
「健兄ちゃん、もう寝た?」
「…寝た」
「フフッ…起きてる」
「…」
「ねぇ、健兄ちゃん」
「…」
「どうして、こっち見ないの?」
「…」
「そっち向かれると寂しいよ…」
「…」
「こっち向いて寝てよ…」
「無理」
「どうして?」
「どうしても!」
「いじわる…」
「はぁ?」
「こんなにお願いしてるのに…」
「いじわるじゃない」
「ねぇ、どうして?」
「無理なもんは無理」
「私の事…嫌いなの?」
「どうしてそうなる!」
「だって…」
「泣くなよ…」
「嫌いじゃないなら…こっち見て」
「嫌だ」
「ひどい……ひっく…」
「泣くなって…」
「うぅ…ひっく…」
「あーもうっ!」
俺はガバッと起き上がって悠里に馬乗りになった。