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キセイジジツ
第4章 発覚
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新堂律(しんどうりつ)は目の前に立っている人物を見つめながら自分の顔がわずかに引きつるのを感じていた。
ーーーーーーー
夏休み二日目の朝、目を半分開いて時計を見ると午前9時を過ぎた頃で思ったよりも早く目が覚めた事に少し驚きつつ、まばたきをしながら部屋の天井を見ていた。
目覚ましをかけずに好きなタイミングで起きるという普段なら考えられない自由さに口元を緩めながらベットから体を起こす。
んんー!と腕を上げて伸びをしながら立ち上がり部屋を出てリビングに入ると共働きの両親の姿はすでになく、ダイニングテーブルの上に置かれた紙が目に入る。
'母ねぼうした!ごはんよろしく!'
乱雑に書かれた字を見ながら慌てて出かけたであろう母の姿を想像して、せめてメモだけでもと残していく律儀なところに感心しながら冷蔵庫を開いた。
食材を確認して何を食べるかを考えながら洗面所で顔を洗う。
ーーーサラダとパンでいっか。
歯みがきをしながら朝食を決め、短パンのポケットに入れていた携帯を取り出して画面を見るとラインが届いている。
メッセージを開くと『今日ヒマ?』と一言のみだったが特に気にせずに『今起きた。特に予定ないけど』と返信をして口をゆすいでキッチンへ。
トースターに食パンを放り込み、フライパンに卵を割り入れ、カットサラダを小皿に移し終わると携帯が震えて着信を知らせた。
水を入れた小鍋をコンロに置いて火を点けながら通話ボタンを押して「もしもし?」と出ると、重い声色が耳に流れてくる。
「今からそっち行っていい?」
「…いいけど、今から朝ごはん食べるから早くても30分後にして」
「分かった、じゃ30分後に」
律が理由も聞かずに返事をすると電話の相手は少しホッとした様子ながらも余韻なく電話を切った。
ーーー様子が少し変だったな。
眉をひそめて考えてみるけれど、ブクブクブク…と小鍋の水が沸いた音に気付き、簡単に意識は朝食へと向かう。
ーーーま、来たら分かるし。ごはんっごはんっ。
テレビの電源を点けてたまたま映った情報番組に視線だけを向けながらサラダと目玉焼きを乗せた食パンとコーヒーを口にしていく。
ふと、昨日から祖母のところへ向かったはずの親友の事を思い浮かべる。
ーーーどうなったかな…
改めて携帯を見て連絡がない事を確認しつつ、コーヒーをすすった。
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