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キセイジジツ
第4章 発覚
朝食を食べ終えてもう一度歯みがきをしてから、今の格好よりはまだ見た目がマシな部屋着に着替える。
携帯の履歴を開いて迷う事なく親友に発信するも留守電に繋がるだけで主には繋がらない。
メッセージを残すことなく電話を切ってテレビに視線を移すと、お天気お姉さんが「今日はそれほど気温も上がらず、外でも過ごしやすいでしょう」と爽やかに笑っていた。
反射的に視線を窓の外へ向けると薄い水色の空が広がっていて雲は少なく誰が見ても快晴なのは明らかで、何だか急に外に出たくなった。
ーーーあとで出かけよっかな。
そう思いつつ時計に視線を流した時、インターホンが鳴ったので椅子から立ち上がり受話器を取って出る。
「はい、どちら様でしょうか」
「…俺」
「ん、ちょっと待って」
受話器を切って玄関へ向かう。
カギを開けてドアを半分ほど開けると親友の片方の悠真がなぜかうつむいた状態で立っていた。
「いらっしゃい。…どしたの?」
「りっちゃん……」
私の声に反応して顔が上がったかと思えば、情けなく眉を下げて今にも泣きそうな顔をしている。
「え、本当にどうしたのよ…」
「それが…その…」
歯切れの悪い悠真を見ながら、ひとまず家の中に入ってもらおうとドアを奥まで開く。
「悠真、ここじゃなんだし…」
「りっちゃん」
私の言葉に被せるように声をかけてきた人の姿を見て言葉に詰まる。
「久しぶりだね」
語尾にハートマークでも付きそうなほどの甘い声とは裏腹に目は笑っていない事に気付いて、自分の顔がわずかに引きつるのを感じる。
「ま……真人(まさと)さん……」
「お邪魔するね」
そう言って悠真と私を押しながら自分も入り込んでドアを閉めてご丁寧にカギまで閉めたかと思うと、パパッと靴を脱いでリビングへ入って行った。
呆然とする悠真と私は一瞬だけ目を合わせて、でもすぐにため息を吐いてリビングへ向かうと、先にリビングに入った真人さんが私を見てニコッと微笑んだ。
「りっちゃん、悪いけどコーヒー淹れてくれる?」
「…うん。座って待ってて」
「ごめんね、よろしく」
キッチンに入りながら横目で真人さんを見ると、悠真に向かってアゴだけ動かして椅子に座るように促していた。
ーーー困ったなぁ…
また小鍋に火を点けながらこれからの事を考えて目を閉じる事しか出来なかった。