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キセイジジツ
第4章 発覚
「……誰と話してたの?」
「あ、りっちゃんだよ」
私があっさり言うと一瞬考えてすぐにニコッと笑う。
「確か…幼馴染みの律ちゃんだっけ」
「そうそう。今ね悠真といるみたい」
「悠真と?」
「二人でドーナツ食べてるんだって」
「ふーん。今回、悠真はこっち来るん?」
「明日の昼過ぎには来るって」
「そっか…」
ーーー来るのか。来なくていーのに。
「健兄ちゃん?」
「悠里さ、今から出かけない?」
「え…うん、いいけど…」
「じゃとりあえず着て来た服に着替えよう!」
「…きゃっ!」
ガバッと体操服を脱がされてバサッとワンピースとカーディガンに着替えさせられてしまった。
赤くなってる私を気にせずに健も目の前で着替える。
「さっ行くよ」
手を引かれてあっという間に車に乗せられて気付く。
ーーー健兄ちゃんの車…初めて乗る…しかも助手席……いいのかな……
「悠里」
健が体をひねって私の方に近付いてきてキスされるかと思ったら、シートベルトを引っ張ってカチッと着けてくれただけで。
「ベルトはちゃんとしよーね」
私の前髪をサラッと触って車を発進させた。
すぐに祖母宅に到着していっしょに降りる。
「今日もウチに泊まるなら、その分の荷物も持っておいで。ばーちゃんには適当に言っておくから」
「うん、分かった」
祖母宅の玄関を開けて健はリビング、私は部屋へ向かう。
部屋に入って荷物をどうするかしばらく迷ったけれど、持ってきたままの状態で持って行く事にし、急いで玄関に行く。
靴を履き終えた健が私に気付いて何も言わずに私の荷物を持ってくれる。
「ありがと…」
「行こうか」
そして車に乗り込み、出発する。
ーーー健兄ちゃん…本当カッコ良い…
右手だけでハンドルを握り運転する姿を直視は出来ずに目だけを動かしてチラチラ見ていると、左手で私の右手を握ってきた。
「っ……!」
何も言わずに前を見たまま車を走らせる。
ドキドキドキドキ…
しばらくしても手を離す様子はない。
ーーーもしかして…着くまでこのままなの?
ドキドキすればするほど手のひらに汗をかいて湿っていくような気がして、そっと手を離そうとするとギュッと掴まれる。
「離しちゃダメだよ」
「うん……」
そんな状態で10分ほど経った頃、目的地に到着したようだった。