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キセイジジツ
第4章 発覚
いつの間にか小屋が何棟か建ち並ぶ景色が目の前に広がっていて、さらに小さな小屋の前に車を停めると'受付'という文字が目に入った。
こちらに気付いた小屋の中にいた男性が小屋から出て車に近付き、運転手側から声をかけてくる。
「いらっしゃいませ」
「どうも。電話した秦ですが…」
営業スマイルの男性に健も軽く笑って簡単に答えている。
「秦様ですね、お待ちしておりました。一番奥の10棟の小屋でと伺っておりますが、よろしいですか?」
「大丈夫です。えっと…小野寺さんは…」
「小野寺は出ております。つい先ほどの事でして、秦様がいらっしゃいましたら丁寧に対応するようにと承っております。本日はお支払いは結構でございますので、このまま10棟までお進みくださいませ」
「あ、そうなんですね。ありがたいな」
男性はポケットからカギを取り出し健に手渡す。
「こちらがカギです。本来ならばお時間の設定が必要ですが、本日はお時間を気にせずにお過ごし下さいませ。それでは失礼致します」
深くお辞儀すると男性は次の車の対応に走っていった。
「まさかのフリータイム?」
独り言をつぶやきながら車を発進させて10棟小屋の前にゆっくり停めた。
「入ろうか」
先に車から降りて助手席のドアを開けて私の手を引く。
カギを開けて小屋の中に入るとーーダブルベット・テーブル・ソファー・テレビ・ミニ冷蔵庫・洗面台・お手洗いが設置されていて透明な扉で仕切られた奥には大きな露天風呂があった。
「何これ……すごい……」
洋室テイストではあるけど宿泊施設のようでいくらでも過ごす事が出来そうな部屋だった。
「驚いた?」
「うん!ここ使っていいの?!」
「もちろん。お風呂入り放題だよ」
「すごい!ね、見て回っていい?」
目を輝かせて聞くと健も優しく笑ってうなずく。
「俺は電話してくるから好きに見といていいよ」
私がうなずくと健は小屋から出て行った。
電話帳を探して小野寺に発信する。
「うぃっすー」
「おう。今、着いた。受付で聞いたけど時間とか支払いってさ…」
「今回は招待だから金もいらないし、好きなだけ使っていーよ。もち、泊まりもオッケー!」
「まじかよ。やばい!ありがとな」
「いえいえ。俺忙しいから感想はまた今度聞かせて。じゃ!」
プツッと一方的に電話が切られた。
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