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キセイジジツ
第5章 疑惑

どれくらい時間が経っただろう。

後部座席に横になっている体勢では外の景色も見えず、兄貴に起きてる事を悟られたくないから、携帯で時間を確認する事も出来ない。


ーーーーーーー


そもそも祖母宅へは昼前にバスに乗って、一人でゆっくり行くつもりだった。

部屋でボストンバックに荷物を詰めているとドアがノックされ、母親かと思った俺は「なにー」と返事をした。
ドアが開いて振り返るとそこにいたのは兄貴。
俺は動揺して一瞬、固まってしまった。

「…あ、兄貴。帰って来てたんだ」
「あぁ。ついさっきな」

そんな俺の態度に気付いたのかボストンバック・手に持ってる服・俺の顔を順に見ている。

「どこか行くのか?」
「…ばーちゃんとこ行く」

「ふーん」と言いたそうな顔をしたかと思えば、今一番聞かれたくない話題になる。

「で、悠里はどこ?」

さっそく来た。絶対聞かれると思ったがこんなに早いとは。心の準備が出来ていない。
思わず黙ってしまった俺を不審そうに見ている。

落ち着け。悠里と打ち合わせた通りに言えばいい。

「何で黙ってるんだ?」
「ごめんごめん。悠里はりっちゃんとこ!」
「泊まりか?」
「うん、そーだよ」

納得してくれたかな。と安心しかけた時…

「お前、嘘ついてるだろ」
「…嘘なんかっついてないけど」
「じゃー…りっちゃんの家に行ってくる」
「は?何で!」
「悠里の顔が見たいから」

そう来たか。いやでも、律の家に行かれても悠里はいないし、何より律に迷惑をかける。

「妹の友達の家に行くなよ」
「何で?りっちゃんの顔も見たいから、一石二鳥だろ」
「っ………」
「手ぶらじゃなんだからお茶請け持って行こ」

そう言って部屋から出て行こうとする。

「~~~~~!!兄貴!待った!」
「何だよ」
「悠里は………りっちゃんの家にはいない」
「で?」

「………ばーちゃんとこにいる」
「なるほど」

とうとう兄貴に知られてしまった。
ほぼバラしてしまった、が正しいけど。

「悠里の事は分かった。で、本当にりっちゃんの顔が見たいから、りっちゃんに連絡しろ」
「えっ」
「俺の事は話さず、暇か聞け」
「……分かりました」

ガックリと肩を落としてる俺をよそに、兄貴は女性を虜にする魔性の笑顔を浮かべていた。
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