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キセイジジツ
第5章 疑惑

律にラインを送るとしばらくして返信があり、その30分後に兄貴と律の家に向かった。

俺だけが訪れたと思ってる律はいつも通りに玄関のドアを開ける。
俺はうつむいたまま「ごめん」と謝るしかなかった。

「どしたの?」と聞きながらドアをさらに開いて招き入れてくれる律の前に兄貴が姿を見せる。

「りっちゃん」

兄貴の顔を見た瞬間、律の動きが止まる。

「久しぶりだね」

顔がひきつっている。

靴を脱いでリビングに入っていく兄貴を目で追ったあと、律は俺に目を向ける。
その目は決して俺を責めてはないが「バレたのね」と聞いてくるようで、俺も「ごめん」と思いながら見つめ返し、二人でため息を吐いた。

兄貴はリビングに入ってきた律に笑顔を見せて「りっちゃん、悪いけどコーヒー淹れてくれる?」と言って律がキッチンへ入ると
俺に向かってアゴだけ動かして椅子に座るように促した。

それからしばらくの間、お互いの近況報告をしながら世間話に花を咲かせていた。
兄貴が一口コーヒーをすすり、また世間話を始めるかのように「ところで…」と口を開いた。

「りっちゃんは頼まれたの?」
「えっ…」
「悠里とコイツに口裏を合わせるように」
「……うん」

律が少しうつむいてしまった。

「りっちゃんは気にしなくていいよ」
「えっ?」
「でもお願いがあるんだ…」
「な、何?」

こういう時の兄貴はとんでもない事を言う。

「俺もばーちゃんとこ行くんだけど、それを悠里に言わないで欲しいんだ」
「はぁ…」
「お願い聞いてくれる?」
「う、うん……」

魔性の笑顔を見せられた律はうなずくしかない。

「さすがりっちゃん。話が分かるね」

そう言うと椅子から立ち上がる。

「コーヒーごちそうさま。俺もう帰るね。……悠真、ちょっと来い」

律には笑顔を見せ、一瞬で不機嫌な顔で俺を見る。
大人しく玄関までついて行く。

「お前も悠里に言うなよ。余計な事はするな」

俺の目を見下ろしつつ低い声を出す。

「変な事をしてみろ。許さないからな」

はっきりと言って、靴をスマートに履いて玄関から出て行った。
俺は玄関ドアに耳を近付けて兄貴の足音を聞こうとした。
するとリビングから出て来た律も同じように耳を近付けて足音を聞いている。

別に聞く事でもないけれど、律にとっても兄貴は恐ろしい存在なんだなと感じていた。
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