この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
キセイジジツ
第5章 疑惑

そして今日に続く。

兄貴に促されるまま車に乗ろうとして困った。
悠里がいれば悠里が助手席に座る。
でも今は悠里はいない。
俺は…助手席に座らないといけないのか?
でもストレートに座りたくないとは言えない。

心の中で葛藤していると、俺の心を見透かしたように「前でも後ろでも好きな方に座れ」と言って運転席に座ってしまう。
俺は何も言わずに後部座席に滑り込んだ。

それからは車内には聞いた事がない音楽が流れ続けて、兄貴も俺も特に喋らず、外の景色を眺めながら揺られていた。
10分もすると睡眠不足のせいでアクビが止まらなくなり、俺は座席に横になる。
目を閉じていたら自然と意識が遠のいていった。



どれくらい時間が経った?

車が道路の大きな段差で揺れた時に意識が戻った。
半分だけ目を開けて顔を動かさずに目だけを窓に向ける。
横になっている体勢では外の景色も見えず、兄貴に起きてる事を悟られたくないから、携帯で時間を確認する事も出来ない。

諦めてまた目を閉じる。
しばらくすると急に音楽が止まった。
音楽が止まる時は目的地にもうすぐ到着する合図。
舗装された道路からデコボコした道になり、ほんの少し砂利道になったあと土の感触に変わる。
駐車する時のシフト音がピーピーピーと鳴り、体を起こすと祖母宅の駐車場だった。

「起きたか。降りるぞ」

兄貴は俺を一度振り返ってから車から降りて煙草に火を点けている。車内禁煙らしい。
そっとドアを開けて荷物を持って降りる。

「お前先に行っとけ。これ終わったらすぐ行く」
「りょーかい」

車から離れたところで煙を吐き出しながら俺を見る。
煙草は嫌いだけど最低限のマナーを守っているなら誰が喫煙しても問題ない。
今だって兄貴は携帯灰皿をポケットから取り出し、灰が一切落ちないように気をつけている。
兄貴のそういうところは尊敬している。

小走りで玄関を開けて「ばーちゃーん」と大きな声を出しながら靴を脱いでると、居間から祖母が顔を出した。

「悠真かい」
「うん。ばーちゃん元気そうだね。あ、これ食べて」

居間に入ってすぐに手土産を渡すと祖母の目元が緩んで口角が少し上がった気がした。

「子供が気ぃ遣わんでよかとに」
「だって、好きでしょ?」
「まぁ……仏壇に供えとこうかね」

そう言って仏壇のある部屋に入って行った。
/270ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ