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キセイジジツ
第5章 疑惑
ハンバーグを食べて、パフェもペロッと完食した悠里は「ごちそうさまでした」と手を合わせてから満足そうにお腹をさすっている。
「美味しかった~お腹いっぱい!」
ドリンクバーから戻って来た俺は声のトーンを少し下げた。
「あのさ、話があるんだけど…」
「…何?」
悪い話だと悟ったのか真面目な顔になる。
「実はな、今ウチに悠真と〈真人〉がいるらしい」
「え………」
目が見開いたが俺は続ける。
「元兄が真人に、悠里は俺とイオ●に出かけてるって話したらしい」
「う、うん…」
「変に勘ぐられないように話を合わせよう」
「…分かった」
嘘をつかせるのは心苦しいが…
「何よりバレちゃいけないのは、俺達の体が繋がった事だけどね」
そう言うと悠里の顔が真っ赤になった。
「俺のムスコで悠里をたっぷり可愛がったなんて知られたら…真人に殺されるだろうなぁ」
「っ……バレないように頑張る……」
「うん、頑張ろうね」
そう言って頭を撫でてやると遠慮がちに俺を見つめる。
「じゃ…あさ、本当にイオ●行かない?」
「え?」
「本当の事にするの。それに……」
「それに?」
「たけちゃんと…デートしたい…」
俺は思わず手で顔を隠した。
「えっ…たけちゃん?」
やられた。落としの悠里だな。
心を落ち着かせて顔から手を離す。
「うん、デートしよう」
「…うん!」
それからファミレスを出て車で30分の距離にある大型商業施設の駐車場に着いた。
「どこか見たい店とかある?」
「うーん、案内図を見たいな」
そう言うので入口から一番近い案内図を探す。
「…あ、あった。悠里ほら」
「うん。えっとー……」
手を口元に寄せて案内図を凝視している。
「…あ、あった!2階みたい」
「何の店?」
「アクセサリーの店なの。行っていい?」
「いいよ」
エスカレーターで2階に上がり少し歩くと、その店が見えてきた。
横文字の看板に明るい照明の店内、アクセサリーにどんな種類があるのか知らない俺が見ても分かるほど種類が豊富だ。
中学生っぽい子から俺と同年代の子まで多くの客で賑わっている。もちろん女の子ばかりだ。
あたり前だろうが店内に男はいない。
入口付近にはいるが、店内には踏み込んでいないのだ。
でもな……。かなりためらったが、悠里のあとに続いて店内に足を踏み入れた。