この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
キセイジジツ
第5章 疑惑

ぶらぶらと目的もなく目につく店に入ってみては出て、入ってみては出てを繰り返していた。

「ね、悠里。コーヒー飲まない?」
「うん、飲みたい」

視線に入ったコーヒー店へ向かい、悠里はカフェオレ、俺はブラック、そしてクッキーを頼む。
奥の方に座ろうと進むと悠里が「あっ」と小さく声を出した。
視線を辿ると見知った顔が二つ。

「あれ?たけ?」
「お、ホントだ」

親友が二人で仲良くコーヒーを飲んでいる。

「何。お前ら、デート中?」
「バーカ。ちげぇよ!」
「そうだ。バカな事言うな!」

全力で否定される。

「ははっ。わりぃわりぃ」
「…あれ、その子…」

築地(つきじ)が俺の後ろにいる悠里に気付いた。

「お前ら見た事はあんだろ。従姉妹の悠里だよ」
「あ、こんにちは!」

悠里が二人に頭を下げて挨拶をする。

「で、こっちが築地で、こっちが長田」
「こんにちはー」
「どうも」

「あっ…あの…」

悠里が長田(ながた)に近付いていく。

「一昨日はありがとうございました…」
「は?」
「あの、キッチンで…」
「……あぁ。あの時の」

俺はまさかの展開に黙るしかない。
長田と悠里が顔見知りなのか?
俺の疑問を解消するように、築地が口を開く。

「え!なになに、何かあったの?」
「あー…この子がすごく具合悪そうで…飲みもん渡してあげただけ」
「なーんだ。それだけ?」
「そうだよ」

そんな事があったのか…

「たけとゆーりちゃん?とりあえず座ったら?」
「あぁ、そうだな」

築地に言われてまだ立ったままだった事に気付く。

「悠里、ここでいい?」
「うん」

築地と長田の隣の席に座る。

「お前らはずっとここにいんの?」
「いや~今から映画見ようと思って」
「映画、何見んの?」
「ほら…ゾンビの……」
「おい、築地。時間がやばい」
「え、もうそんな時間?やべ~」
「たけ悪いな。俺達行くわ」
「おう。またな」
「ゆーりちゃんもまたね~」
「あっ、さようなら」

二人はあっという間に店を出て行った。

「…築地さんと長田さんと仲良いんだね」
「うん。中学の頃からの付き合い」
「話してる雰囲気で仲良いって分かるよ」
「そうかな」
「たけちゃんの親友に会えて嬉しい」

そう言って悠里はふわりと笑う。
けれど俺は悠里と長田の間に何があったのか、それだけを考えていた。
/270ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ