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キセイジジツ
第5章 疑惑

靴を脱いでいると大きな足音が近付いてきた。

「悠里!!」

案の定、真人だ。玄関の音に反応してきたのだろう。
どんだけ耳がいいんだよと心の中で悪態をつく。

「お兄ちゃん…」

大げさに悠里を抱きしめ、すぐに体を離して、悠里の顔を覗き込む。
噂の魔性の笑顔を浮かべている。

「会いたかったよ」
「あ、うん、私も」

悠里は真人の言葉に合わせるように返事をした。
外人並みの抱擁をした真人に俺は苛立つ。
真人が少し眉をひそめた。

「ん…?何か悠里の顔が…」
「何?」
「一瞬、女の顔に見えてな」
「えっ?」
「いや……気のせいだろう」

そう言ってまた悠里を抱きしめている。

「おい、真人」

俺が呼ぶと真人は視線だけを向ける。

「何だ、いたのか」
「悠里が苦しそうだぞ」

すぐに視線を悠里に戻して腕を緩める。

「悠里、悪い。さ、リビングへ行こう」
「うん…」

悠里の手を引いてリビングへ向かう。
二人の後ろ姿を見つめながら俺は深くため息をついた。

年々、真人の過保護ぶりが増している気がする。
兄の行動としては度を越している。
あれじゃまるで…愛しい恋人に対する態度だ。
従兄弟の俺が言えた事じゃねぇけど…と自嘲気味に笑う。

遅れてリビングへ入ると、ソファーに腰かけた悠里と真人の姿が目に入る。
悠里の隣をしっかり確保し、何か飲むか?お腹すいてないか?と優しい兄貴面をしているが、俺は不安で仕方がない。
その顔の下には男の顔が潜んでいる。
悠里を見つめる目は兄じゃなくて男の目を孕んでいる。

「大丈夫だよ…健兄ちゃんとお茶してきたし…」

悠里がそう言うとバッと俺を睨む真人。
俺は思わず目を逸らしてしまった。
逸らした先には俺を見つめる悠里によく似た顔。
基本的な造りはそっくりだが、体型が全く違う。

「健兄ちゃん、久しぶり」
「おう、悠真。大きくなったな」

頭を撫でると少し照れて「やめろよっ」と俺の手を払う。

「ちょっと二人で話せる?」
「いいけど。俺の部屋行く?」
「うん」

悠真が俺と話したがるなんて珍しいなと思いながらも部屋に招き入れる。

「で、話って?」
「悠里の事なんだけど…」

俺は少しビクッとしてしまった。
悠里の事?

「な、何だよ…?」
「悠里と上手くいった?」
「えっ……」

ニヤリと笑う悠真を見つめながら俺は冷や汗をかいた。
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