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キセイジジツ
第5章 疑惑

元の言葉が効いたのか、それから真人は悠里にほとんど触れなくなった。
正確には触ろうと手を伸ばすも、我慢して引っ込めるという感じだ。
そんな真人を見ながら俺はざまぁみろと心の中で舌を出す。

みんなで晩ご飯の鍋をつつき片付けも済ませて夜も更けてきた頃、真人が突然立ち上がった。

「よし。悠里、悠真、帰るぞ」
「えっ…俺、泊まりたいんだけど」
「じゃお前は泊まればいい。悠里と俺はばーちゃんの家に帰るから」
「ま、真人兄ちゃん!私も泊ま……」
「ダメだ。従兄弟と言っても男がいるんだぞ。年頃の女の子が泊まるなんてありえない」

「聞き捨てならない発言だな」と元が突っ込むが真人はチラッと視線を流しただけで、すぐに悠里を見る。

「遊びに来るのはいい。でも泊まるのは禁止だ」
「っ……」

そんな真人と悠里を見ていた悠真が立ち上がる。

「やっぱ、俺も帰る。悠里、帰ろ」
「うん……」

悠里も仕方なく立ち上がる。
そして真人にバレないように視線だけを俺に向ける。
何も言う事が出来ない俺は声を出さずに口だけ動かして「連絡する」と伝えると、悠里は小さくうなずいた。

「悠里、悠真」

元が優しい声で呼び止める。

「俺は大抵家にいるから。いつでも来いよ」
「「うん!!」」

二人が同時に声を出して手を振り、リビングから出て行った。
玄関が閉まる音のあと…車のエンジン音が聞こえて離れていった。
静まったリビングでため息を吐くと元が肩をポンッと叩いてきた。

「お前も苦労するな…」
「うん…」
「それでもお前が選んだんだ。大事にしろ」

そこまで言われて違和感を感じる。
兄貴は何の事を言ってるんだ?

「兄貴…?何言って…」
「悠里の事だ。好きなんだろ」
「な、んで…」
「お前の事くらい何でも分かるんだよ」

ニヤリと笑う。

「まじか…」
「真人にはバレないように気をつけろよ」
「…分かってる」
「悠里に手ぇ出したって知られたら、殺されるぞ」

真面目な顔で俺を見据える。
そこまでバレてたのかと目を見開く。

「昔から分かりやすいんだよ、お前は」
「うっ…」
「だからオモチャも譲ってやったんだ。悠里の為にもな。賢く使えよ」
「…分かりました」
「ふっ。じゃあな」

背を向けて手をヒラヒラと振ってリビングを出て行った。

やっぱり、元には敵わない。
でも味方だと思うとすごく心強い。
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