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キセイジジツ
第5章 疑惑

ラーメンはチャーシューを含めて予想以上に美味しくて、俺は幸せな気分に浸っていた。
箸が止まらなくてあっという間に減っていく。

ふと恭介の器に目をやると麺はほとんど残っておらず、レンゲでスープをすすっている。

「恭介さん、もう食ったんですか?」
「あぁ、俺食うの早いんだよね」

手を合わせて「ごっそさん」と言って恭介さんは俺に視線を向ける。

「悠真くんさ、彼女はおらんの?」
「彼女ですか?…いないです」
「じゃー好きな子は?」
「えっと…好きだけど、少し違うと言いますか…」
「その子からはモテない感じ?」
「あ、その子には好きな人がいるんで」
「彼氏持ち?入る隙間ないの?」
「そうなんです。どちらも大切な人なんで邪魔するつもりはないんです」

俺は悠里と健の顔を思い浮かべる。

「二人が幸せならそれで良いかなって」
「なるほど。純粋なんだね」
「ははっ純粋ですかね?」
「うん。そう思うよ」

そう言うと恭介さんは何か思い出すかのように頬に手をつけて肘をつき、視線を宙に向けた。

「俺さぁ、どうしても忘れられなくて、だけど肝心な事は思い出せない女の子がいるんだよね」
「それって、どういう…?」

含んだ言い方に俺が分からないという顔をすると、恭介さんは「ふっ」と鼻で笑う。

「俺がたぶん小学生の頃…4、5年生の頃だったと思うんだけど、こっちの親戚の家に遊びに来た時に迷子になってた女の子と会ってさ」

「遊びに来たって、元々の住まいはこっちじゃなかったんですか?」
「うん、元々は隣町なんだ。で、たぶんその子は4、5歳くらいですげー可愛い子でほっとけなくて、その子の親が来るまで遊んであげてたんだ」

「親はすぐ来たんですか?」
「いや、それがなかなか来なくてさ、結局その子のお兄ちゃんが迎えに来たんだ」

「そうなんですね」
「でも迎えが来るまでその子はすごく寂しそうにしててさ、俺が何か言った言葉にすごく笑ってくれて嬉しくなった俺はその子に『大人になったら結婚しよう』みたいな事を言っちゃってさ…」

「可愛いですね」
「うん。俺にも可愛い時代があったのよ。で、その子も『けっこんする!』って言ってくれて、しっかり指切りげんまんまでしたのは覚えてるんだけどさ、肝心のその子の名前も顔も思い出せないんだ…」

そう言うと恭介さんは切なそうに目を細めていた。
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