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この出会いは…
第4章 変わりつつある気持ち
「あのっ…。」

自分から話しかけておいて、何て言っていいのか分からない。
黙り込んで、2人の間に気まずい沈黙が流れた。
唇を噛み締めて、俯いていると、突然頭に重みを感じた。
顔を上げると、一ノ瀬さんに頭を触られていた。
反射的に身体が固まりかけたが、一ノ瀬さんはフワリと笑うだけ。
テーブルに左肘を付き、身体をこちらに開いて、右手が私の頭をポンポンと優しく叩いている。

「フフ。また、びっくりした?」

えっ…?

「ほら、口。痛くなるよ?」

「えっ、あ…はい。」

一ノ瀬さんが、そのままもう少し身体を傾けて近付いて、耳元近くまで顔を寄せて、何かを言いかけた時、テーブルの向かい側から話しかけられた。

「一ノ瀬。お前、何セクハラしてんの?」

へっ?セクハラ!?

「はぁ…お前、いきなり何を言うかと思えば。」

一ノ瀬さんがわざとらしくため息をついて、あからさまに呆れた顔をした。

「お前と一緒にするなよ。」

「だって、知花ちゃん、顔真っ赤よ?」

たっ、滝本さん!
お願いだから、スルーしてよ…

「滝本さん、そういうところですよ!思った事を口に出しすぎです。」

「なっ…!佐々木まで何だよ。」

「この前、私に全力で謝った事で学習したかと思ってました…」

こ…琴莉…、強い。
でも、正直、助かった。

「お前、それ言うなって。」

滝本さんが慌て出した。
やっぱり琴莉と滝本さんの会話は面白い。

「仕事が終わると、どちらが先輩かよく分からない関係性だわ…」

美怜の言葉に星さんが同調して、笑い出す。

「まぁ、アレが滝本の長所でも短所でもあって、アレがなくなったらアイツの個性が死ぬからな。」
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