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この出会いは…
第5章 告白
「一ノ瀬さん…あの、私に…そんな、に、優しくしちゃ…ダメ、です…」

私の左手を包む一ノ瀬さんの右手が、またピクッと動いた。

「…どうして?」

「優しくされると、…辛いです。」

「……どうして、そう思うの?」

「優しくされると…頼ったり、甘えたりしたくなります…」

「うん。」

「美怜にも…そうだったんですが…頼って、甘えて、寄りかかって…散々迷惑をかけて…でも、私からしてあげられることは余りにも少なくて…」

「…うん。」

「今まで以上に迷惑をかけて、傷付けてしまうのが、こっ、怖くて…辛いんです…」

話ながら、頭がどんどん下がり、ついにはコツンとテーブルに突っ伏した。

「ごめんなさい…」

突っ伏したままの姿勢でそう一言呟いた。
少し沈黙が流れて、もう一度『ごめんなさい』と言おうかとした時、頭が重くなった。

「俺は…頼って欲しいんだけどな。」

頭をフワリと撫でられている?
いや、その前に…頼って、欲しい…?

「前にも言ったけど、迷惑だと思った事はないし、知花ちゃんの力になれるなら、嬉しい。」

嬉しい…の?

「むしろ、他の誰かのところで泣かれるほうが嫌かな…」

えっ?
思わず顔を上げた。
頭に乗せていた手をパッと引っ込めて、一ノ瀬さんが視線を逸らした。

「いや…うん。その…美怜ちゃんから知花ちゃんの話を聞いて"どう思ったか"って答えの続きね。」

「…は、はぁ…」

「"悔しい"と思ったのと、あと、…"守りたい"と思った。」
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