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第6章 恋愛は癒し？

「えっと…"それ"、とは…」

"なんのこと？"と聞きかけて止めた。
目の前の二人が、きれいな顔を思いっきり歪めて、私を見ていたから。

「一ノ瀬さんも苦労するな…」

「急がなくていいなんて言ったら、きっと、永久に気付かないわよね。」

「ちょっ、なんの事！？っていうか、二人とも止めてよ、その顔！！！」

私もヒートアップしそうになったその時、琴莉の携帯がなった。

「あ、ヤバイ。私、もう戻らなきゃ！」

もう？
私の話を聞いていて、ろくに食べてないじゃない！

「じゃあ、また！次はゆっくり聞かせてね！！」

「こっ、琴莉！あんまり頑張りすぎないでね…？」

私の言葉にニッコリ笑って、手を振って社食を後にした。

「琴莉、倒れなきゃいいけど…」

「うん。ちゃんと食べてるのかな？あの子、自炊は苦手だからね…心配だわ。」

そう、琴莉は仕事は出来るけど、家事となるとからっきし。
家には寝に帰っているようなものらしく、無関心で、無頓着だ。
そんな典型的な仕事人間。

「あれっ？さっきまで佐々木いなかった？」

いきなり話しかけられ、美怜と振り返った先には、滝本さんが立っていた。
手には本日のパスタランチを持って。

「琴莉ならたった今戻りましたよ？」

「なんだよ、行き違いか…。」

「滝本さんも珍しいですね。この時間に社食に来るなんて。よろしければ、ここどうぞ？」

美怜が自分の隣の席の椅子を引いて滝本さんを見る。

「ありがとう。まぁ、たまには、ちゃんと昼時に食べたいからね。」

そう言って差し出された椅子に座って、パスタを食べ出した。