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第6章 恋愛は癒し？

その日の午後はお昼休みに一ノ瀬さんと偶然会ってしまったせいで、仕事に集中出来ず、ホントにミスをしてしまいそうだった。
その日以降も電車や会社で見かける度に緊張した。
恋愛経験や恋愛偏差値が低すぎる自分がいやになってしまうくらい、身体が過剰反応した。

10月後半も何事もなく過ぎていき、もう11月が来た。
相変わらず琴莉は忙しそうで、残業続きの毎日を送っているらしい。

「琴莉…心配だな。」

私は定時を過ぎて仕事を上がり、美怜が終わるまで待つ間、営業部のフロアを訪れていた。
一ノ瀬さんがいたら正直気まずいな。
琴莉に会ったらすぐに帰ろう！
営業部のフロアに足を踏み入れて、一ノ瀬さんがいないことにホッとして、海外事業課を目指して足早に歩いていた時、知らない女性に話しかけられた。

「あのっ！広報部の方ですよね？……最近、一ノ瀬さんと一緒にいらっしゃるのをよく見かけるんですけど、お二人はお付き合いされてるんですか？」

「…っ！」

えっ！どうしようっ…！
そっ、そんな直球で聞かれるとはっ！
言葉遣いは丁寧だけど、口調が少し怖い！
ホントに、どうしようっ！

「えっと…あの…そういう事は…なっ、い…」

「あー！相原さん。わざわざすみません！こっちです！」

またしても突然話し掛けられ、訳もわからず振り向くと、滝本さんが手を振っていた。
た、助けてくれたんだよね？
『相原さん』って。

「あの…すみません。失礼します！」

営業企画課の女の人を振り切って、滝本さんのところへ急いだ。