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第6章 恋愛は癒し？

「じゃあ、さっそくキッチンお借りして、準備してもいいですか？」

「あぁ、包丁はここで、菜箸とかおたまがここ。鍋は…えーと確か…あ、ここ。」

廊下を抜けてリビングに入ると、既にキッチンで美怜が星さんと話していた。

「あとは、何が必要かな？」

「大丈夫だと思います。」

「あのっ、私もっ！キッチンお借りします。」

コートを脱いで、鞄と一緒に部屋の隅に置かせてもらい、星さんと入れ替わりでキッチンに入った。
美怜はかわいく巻いていた髪の毛をバレッタで留めて、すっかり料理モードになっている。

「俺たちは何をすればいいかな？」

「手伝えることがあればだけど。」

対面キッチンの向こう側から一ノ瀬さんと星さんが顔を出す。

「出汁を買ってしまえば、鍋なんて後は食材を切るだけですから。あ、お先にお酒飲みますかー？」

「いや、さすがにそれは悪いし。」

「俺たちがここにいる方がやりにくい？」

「あ、はい…。緊張…しますね。」

だって、"誰かのために"なんて…
そんな事今までにバレンタインのチョコ作りくらいしか経験がない。
しかも、それだって１回だけ。
私の言葉に一ノ瀬さんが笑って、星さんを連れてリビングの方へ戻っていった。

「ただ待ってて頂くのも悪いので、ホントに先に始めててくださいね！」

買ったビールを持って、美怜が一ノ瀬さんたちのところへ置きに行く。

「あっ、あのっ、星さん。お酒飲まれるなら、フライパンもお借りしていいですか？」

「ん？構わないけど？」

星さんに許可をもらって、私はフライパンを取り出し、おつまみの準備をした。
キッチンに戻ってきた美怜も、鍋用の野菜を切る前に、おつまみ用の具材をササッと準備してくれた。