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この出会いは…
第7章 恋敵とないものねだり
「あのっ、諦めて欲しいとかっ、そう言うことを言いたいんではなくて…えっと…」

えっと……どうしよう。

「随分、余裕なんですね。」

「えっ?あっ、嫌ですよっ、ホントは。で、でも、誰かに諦めてくれって言われて諦められるものじゃないですよね?」

「ふーん、じゃあ、思い続けて、告白しても構わないって事?」

「ヤです…けど、私に止める権利はありませんから。」

私の言葉に田邊さんが苛立ち始めた。

「自信があるんですね。一ノ瀬さんは自分から離れないって。」

「そんな事ありません。そうならないように私は私で頑張ります。それを伝えたくて…」

「はぁ?貴方、バカ?お人好しすぎてイライラするわ!」

声を荒立てる田邊さんをじっと見つめた。
いきなり罵られたけれど、ここは私だって引けない。

「貴方って、ふわふわしてて、虫も殺せないような顔して、男が守りたくなるタイプですもんね。私が一番嫌いなタイプだわ!」

なっ、なんて言いました!?
下唇を噛み締めて次の言葉を待つ。

「一ノ瀬さんってあまりプライベートを話す人じゃないから知らなかったですけど、こういうタイプが好きだったんですね。ちょっとガッカリ…」

「いっ、一ノ瀬さんをっ、悪く言わないでくださいっ。」

「でも、それで付き合えたんですもんね?私とは真逆だから羨ましいわ。」

…嫌味、ですか?
言い方が全く羨ましく思われているようには聞こえませんが。
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