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この出会いは…
第7章 恋敵とないものねだり
「だから、ライバルが田邊さんだなんて手強すぎますけど。」

「あのね。…彼女の座にある人にライバル認定されて、私が喜ぶと思ってるの!?」

「いえ…でも、彼女といってもまだお互いに知らないことが多いですから、私が幻滅される事だってあり得ます。」

「今の座に甘んじるつもりはないと?」

「はい。だから、田邊さんの存在はいい刺激になります。負けたくないですし、一ノ瀬さんに相応しい女性にならなきゃって焦るので…」

目の前で思いっきり田邊さんがため息をついた。

「なんかバカらしくなってきたわ。」

「え…?」

「人の事、羨ましいだの、理想だの…バカにされてる気分だわ。」

「ちがっ、そんな事…」

「分かってるわよ!」

田邊さんが組んでいた足を組み直して、テーブルに頬杖をつく。

「…貴方がどんな人か大体分かったわ。」

それは、どういう事だろう。
あからさまに呆れたような態度になってきたのですが…

「だから、バカらしくなってきたの。もう、帰っていい?貴方も休憩時間なくなるわよ?」

そう言って、いきなり立ち上がった。

「私、諦めないわよ?貴方がいいって言ったんだからね。」

立ち上がったまま宣言されて、私も言い返した。

「私もっ!譲る気なんて全くないですからっ!」

「望むところよ。じゃあね、お先。」

最後にニッと笑って、コーヒー代をバシッとテーブルに置いて、田邊さんは去っていった。
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