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この出会いは…
第7章 恋敵とないものねだり
「知花ちゃん、ごめんね?俺が解決しなきゃいけない問題だったのに。」

知花ちゃんの向かいの席に移動しながら謝る。

「……っ!いっ、一ノ瀬さっ、あの…」

「外出先から戻ってきたら、会社から出ていく知花ちゃんが見えて、追いかけて来たんだ。」

「はっ、はじ、めから…?」

顔を真っ赤にして俯く知花ちゃんの頭を、もう一度撫でた。

「嬉しかった。改めて、好きだって実感した。」

知花ちゃんは俯いたまま微動だにしない。
顔を覗こうとしたら、少しだけ動いて顔を隠された。

「ふふっ、今日、仕事終わりにごはん食べに行こうか?」

「……はぃ。」

辛うじて聞き取れるくらいの返事が余計に面白くて、声を出して笑ってしまった。

「ほら、会社戻るよ?」

手を握って引き上げて、知花ちゃんを立たせた。
赤い顔のままチラッと俺を確認した仕草がまたかわいい。

「頑張って早く終わるから、待っててくれる?」

「はぃ。」

その返事に満足して、手を握り直して、カフェを後にした。
お互いちゃんとした昼食も摂らず会社に戻り、更衣室の前で別れて、俺はそのまま営業フロアに戻った。
田邊と鉢合わせた時は、一瞬気まずそうな顔をされたが、その後は今まで通り接することが出来た。

俺が直接話をしていたら、こんな風には行かなかっただろうな。
改めて知花ちゃんに感謝した。
そして、知花ちゃんの心の寛大さや勇気に感服した。
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