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この出会いは…
第8章 彼の家
「あっはっはっ!知花ちゃん、すげぇな。天然恐るべし!」

え?え?え?
どうして?なんかダメだったの?

「まぁ、あの人は強がって『譲る』なんて言ったんだろうけど、ライバルとお茶の約束をしてくるなんてね。」

「知花にかかれば、みーんなお友達ね。」

美怜と琴莉が呆れ顔のままそんなことを言う。

「美怜たちのが十分嫌味たっぷりじゃん!」

「あはは。でも、知花ちゃんのお陰で、職場で気まずくならなかったから、助かってるよ。ありがとう。」

一緒に笑っていた一ノ瀬さんにそう言われて、少し気持ちが落ち着いた。
職場で気まずいというのは避けたかったから、良かったなと素直に思えた。

「でも『今年は』一緒に過ごすんだ?」

「ふふっ、良かったわね。『今年は』楽しくなりそうで。」

美怜と琴莉が"今年は"をやけに強調して、ニヤニヤからかってきた。
こういう時の二人って厄介なんだから…

「でも、一ノ瀬さん、残業で遅くなりませんか?」

「うん、そうだね。あっ!知花ちゃん、これ。」

琴莉に話しかけられて、思い出したかのようにスーツのポケットから鍵を取り出した。

「オートロックも玄関もそれで開けられるから。」

「あっ、はい。」

鍵を受け取って、どこにしまおうかと一瞬迷って、お財布にしまった。
一ノ瀬さんが鍵を取り出してから、私がしまうまでの一部始終を三人がニヤニヤしながら見ていた。

「琴莉、私たちも楽しみましょうねー!」

美怜のその一言でお昼休みは締め括られた。
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