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この出会いは…
第8章 彼の家
「わぁ、かわいい!」

冷蔵庫から取り出したケーキの箱を開けて、思わず一人で呟いていた。
二人用だから大きくはないけれど、デコレーションがかわいい、サンタさんが乗ったクリスマスケーキ。

「ふふっ、良かった。」

一人で笑って感動しているところを、対面キッチンの向こう側からしっかり見られていた。

「仕事終わりじゃ間に合わないかと思って、午後の外出中に取りに行って、休憩室の冷蔵庫に入れといたんだ。」

一ノ瀬さんが『これは内緒ね?』って笑って教えてくれた。
仕事中に…!
私が食べたいって言ったから?

「あの…ありがとうございます。すごく可愛くて…嬉しいです!」

「うん。じゃあ、ケーキと包丁は俺が向こうに持ってくから、皿をお願い。」

一ノ瀬さんは、私の言葉に優しく笑ってそう言うと、リビングに歩いていった。

「あっ、コーヒー入れますか?」

「そうか…まぁ、いいよ、後で。」

そう言いながら一ノ瀬さんが再びキッチンに戻ってきた。

「あ、ワインで乾杯し直す?」

飲みかけのワインボトルに気が付いて、そう提案されたので、私も頷いて、グラスを用意した。

リビングでケーキをカットして、お皿に取り分けた。
中はイチゴたっぷりのショートケーキだった。
いい香りで顔が綻んでしまう。

「イチゴ好きなの?」

「はいっ。王道ですが、やっぱりイチゴのショートケーキが一番好きです!」

嬉しくて、勢いよく答えた私を見て、一ノ瀬さんがクスクスと笑う。

「ふふっ、同じ反応…」
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