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この出会いは…
第8章 彼の家
「これ、どうぞっ!」

「あ、ありがとう。」

あれ?
一ノ瀬さんがポカンとしている…?

「あの、一ノ瀬さん…?」

「いや、俺ももらえるとは思ってなかったから。開けて、いい?」

コクコクと頷いて、ラッピングを開ける一ノ瀬さんを見守る。
よっ、喜んでもらえますように!

「あ、ネクタイ?ありがとうっ!」

「はぃ…今日来ていたスーツに合うかなと思って…」

「うん、嬉しい。新しいの欲しいなと思ってたところだったから。ホントありがとう。」

そう言って抱き締めてくれた。
喜んでもらえた、よね?
良かった…

ネックレスを一ノ瀬さんに付けてもらって、そのまままた、あの座り方…一ノ瀬さんの足の間に座って、映画を見た。
ただ、映画の内容なんて入ってこない。
映画の字幕を目で追いながら、さっき一ノ瀬さんに抱き締められながら言われた言葉を思い出していた。

『知花ちゃんが好きすぎて、俺、おかしい』

そんな事を言われたのは初めてだ。
嬉しいけど、なんて返したらいいのか…
一ノ瀬さんのことを考えると、いつも胸がドキドキして苦しい。

『俺を頼って、俺に甘えて、ずっと俺にドキドキしてて』

いつか言われた言葉も思い出す。
甘えていいなんて言われたのも初めてだ。
嬉しいな…
嬉しくて、ケーキは美味しくて、一ノ瀬さんは優しくて、素敵なクリスマスだな。
たぶん、今日は食べすぎな気がするけど、今日くらいいいよね?
クリスマスなんだから。

素敵すぎて、夢を見ているのかも知れない。
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