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この出会いは…
第8章 彼の家
チャポン…

温かい浴槽に浸かって、冷静になろうと努める。

あれから、お風呂が沸くまで、そのままになっていたシャンパンやグラス、お皿を片付けて、いろいろ考えないように必死だった。
けれど、お風呂が沸いた事を報せるメロディーに現実に戻された。
一ノ瀬さんに『お先にどうぞ』と言っても聞いてもらえず、逆に着替えを渡されて、脱衣所まで案内されてしまった。
洗濯機の使い方を聞いて、とりあえず下着とインナーを詰め込んで、洗濯機を回して、今に至る。

すでに髪の毛も身体も洗い終わって、さっきからずっと浴槽の中だ。

「早く終わって…」

私の呟きは洗濯機へ向けられている。
下着…乾いてくれないと、着替えられない!

洗濯機からピピーと音が聞こえてきた時には、私は頭がボーっとしかけていた。
乾燥が終わった下着とインナーを取り出して、下着を身に付ける。
一ノ瀬さんが用意してくれた服に着替えて、髪の毛はタオルドライだけして、リビングに戻った。

「お先に…ありがとうございました。」

一ノ瀬さんと目が合うと、驚いたような顔をして、こちらに歩いてきた。

「顔、真っ赤。水持って来るから、座ってて。」

ソファーに私を座らせて、冷蔵庫からお水のペットボトルを持って来てくれた。

「…大丈夫?」

頷いて、ペットボトルを受け取ると、肩にかけていたタオルで頭をゴシゴシされた。

「髪の毛も。ドライヤー使っていいよ?」
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