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この出会いは…
第8章 彼の家
知花ちゃんの寝息がやけに響いて聞こえる。
さっきはソファーに座る俺の膝の上だったけれど、今は寝室のベッドの上で寄り添って寝ている。
まだまだ俺の試練は終わらないな。

指を握っていた手はいつの間にか離れていて、知花ちゃんは深い眠りについた様だった。
さて、俺はどうしようか。
正直、身体が熱くなるような欲が腹の中で蠢いているのは自覚している。
しかし、それは今解放すべきでないことも分かっている。
知花ちゃんの寝顔を見ているだけで、満たされる感情と、蠢く欲とがせめぎ合う。

はぁ、俺も寝よう。

リビングに行けば少し冷静になれるのは分かってはいたが、側を離れるのも惜しくてそのまま隣に寝転んだ。
左を向けば、すぐ目の前に知花ちゃんの顔がある。
少し微笑んだような顔。
顔にかかった髪の毛を耳までかきあげた時、またあのネックレスをしてくれているのに気が付いた。
愛おしい。
俺はこの笑顔を守りたいんだ。
理性の勝利にホッして、ため息と共に目を閉じた。


翌朝。
普通に仕事をして疲れていたからなのか、昨夜はあのまま俺も眠っていた。
起きたのは8時半頃。
そして、目の前には知花ちゃんの顔。
昨日は寝室が暗かったから、こんなにはっきり見えなかったけど、いつもより少し幼く見える愛しい寝顔に堪らなくなって、思わず頬に触れる。
起こさないように、そっと。
くすぐったそうにピクッと反応して、俺にすり寄ってくる。
寝たのは昨日というより、今日だもんな。
もう少し寝るか。
頬に触れていた手をそのまま知花ちゃんの肩に滑らせ、軽く抱き締めた。

祐side 終わり
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